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いっこの差  作者: 夢呂
【第一章 】
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知らないハルくん

「ハルくんさ、どんな髪型が好き?」

「うーん、長いのがいいかな。めいこちゃんみたいに」

「じゃあ、めいこ、髪切らない!!ずっと長くしてるね」

「うんっ」





幼い頃にした会話を夢に見てしまった。

朝から切なくなる。




もう、意味ないのに……。

髪を伸ばしても、

かすみ先輩にはなれないし、

年の差が無くなるわけでもない。




「いってきます」

家を出ると、

ちょうどハルくんの家も玄関が空いた。


「あ、おはよう茗子ちゃん」

ハルくんのお母さんだった。


「おはようございます!!」

「久しぶりね、またかわいくなって~」

「母さん、やめなよ、茗子困ってるから!!」

「!!」


ハルくんのお母さんと家から出てきたのは、私の一つ年下のハルくんの弟、(さく)だった。



「サクちゃん、久しぶりだね!!」

「うん…」

私が声をかけるとそっけなく足早に学校へ行ってしまった。


「ごめんね茗子ちゃん、あの子最近反抗期だから」

ハルくんのお母さんは苦笑いで謝る。

「いえ…」


「春はお弁当忘れてくし…もぅ…」

「あ、私、届けましょうか?」

「え、でも、中学とは逆方向だし…」



走ればまだ間に合うからとお弁当を預かって高校に向かった。

確かこのバス停って…。



ハルくんが乗るバス停まで走ると、

やっぱりハルくんはバスを待っていた。


良かった、間に合った!!


でも、隣には―――

かすみ先輩がいた。



私はバクバクうるさい心臓を押さえて、

「ハルくん…」

二人がいるバス停に向かった。




「あれ?茗子ちゃん。」

「あ、それ、春のお弁当じゃない?茗子ちゃん、どうしたの?」


「あの…ハルくんのお母さんにさっき会って、忘れてったって聞いて…持ってきちゃいました」




「ありがとう、茗子ちゃん」

ハルくんはいつもの笑顔でお礼を言ってくれた。

「もぅ、すぐ何かを忘れるんだからっ」

かすみ先輩がすかさずつっこむ。



「付き合ってたんですね…ふたり」


つい、口から出てしまった。

あまりに仲が良くて……私の知らないハルくんみたいで………。



「うん、恥ずかしくて誰にも言ってなかったんだけどね」

照れてるハルくん。

幸せそうなハルくん。



諦めるしかないのかな……。

こんなにずっと……好きだったのに………。



二人に背を向けて私は走った。

現実から目をそらしたくて――――。










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