噂への不安
冬休みも終わり、
クラスも大半が受験追い込みで勉強してる人が多い
。
私も放課後菜奈と図書館で勉強することが多くなった。
ハルくんとは元旦以来会えていないし、
携帯電話が鳴ることもなかった。
寝る前にだけ、電源をつけて、受信確認する。
――――そうしないと、
気になって何度も携帯電話を見てしまうから…。
ハルくん……
本当はうんざりしてたんだ…
私と幼馴染みだって、
噂がどこまでもつきまとって…。
このまま西高で、本当に良いのかな?
ハルくんは私に西高に来て欲しかったって言ってたけど、それだとまた噂が絶えなくてハルくん困らせるんじゃ…。
「めいこ?」
菜奈に呼ばれて我に返る。
「どした?ボーッとして…。」
「あ、ううん…大丈夫。」
「春先輩に初詣デート誘われたからって、まだ浮かれてるの~?」
ニヤニヤしながら菜奈がひやかす。
「………」
「ちょっと、なんかつっこんでよ!」
曖昧に笑うと、菜奈が言う。
「めいこ、本当大丈夫?私で良ければ話聞くよ?」
心配してくれてるのが伝わって私は口を開いた。
「うん…私…西高で本当に良いのかな…って考えてた…」
「なんで?」
菜奈が不思議そうに聞く。
「初詣でハルくんの高校の女の先輩達に会ったんだけど…私のこと、“噂の幼馴染み”とか言ってた…ハルくん困ってたし…迷惑、かける気がしてーー」
私の言葉に、菜奈はすぐ同意した。
「確かに西高でも春先輩のモテモテっぷりはこないだの文化祭の時に感じたけどさ…ほら、ミスター西高に選ばれてたし。中学の時からのファンクラブも健在らしいしね。茗子の存在はそういう人達には疎まれるかもね。また、色んなあることないこと言いふらされたりするかもだし…。でも」
一呼吸置いて、菜奈が続ける。
「でも、それは周りの話でしょ?言いたいやつには言わせとけばいいじゃん。春先輩もモテモテ過ぎなのにはうんざりしてるのかもしれないけど。別に茗子にうんざりしてるわけじゃないんだから!」
「………そうかな」
「そうじゃなきゃ、“本当は西高に来て欲しかった”なんて言わないでしょ!!」
「茗子の悪い癖だよ、マイナス思考!!」
菜奈が私の背中をバシッと叩いた。
―――片想いだから、不安が止まらないんだよ。
相手の本当の気持ちを、
分かることができないからーー。