衝撃
「え、それ、まじかよっ」
「言えないでしょ、さすがに」
翌朝、ハルくんに会うのが気まずくて早めに家を出たら、前を甚と菜奈が歩いていた。
二人に近づこうと歩いていくと、
「春先輩とかすみ先輩、内緒で付き合ってたなんて、茗子が知ったら…」
菜奈の声に立ち止まった。
嘘。
好きな人…じゃなくて、
付き合ってたなんて……。
二人は私に気づかずそのまま歩いていった。
いつから?
どっちから告白したの?
突然のことに、涙も出ない。
じゃあ、私との噂が流れてても…
最初から私は………。
分かってたけど。
分かってたけど。
―――気づいたら、教室の前にいた。
「めいこ、おはよー」
私に気づいた菜奈がいつもの笑顔であいさつしてくる。
「おはよー」
いつもの笑顔でこたえたはずなのに、
声が小さくなってた。
「めいこ、今日の小テスト、勉強やった?私ヤバイんだー」
明るく振る舞ってるのがバレバレだよ、菜奈。
私のこと、想ってー―ー。
私は、大丈夫。
私は、大丈夫。
考えたらダメ。
ハルくんのことはー―ー。
結局、気づいたら一日が終わっていた。
放課後、
菜奈と帰ろうとしていると、
甚と男友達が私たちに声をかけてきた。
「初めまして、俺、隣のクラスの仲西です。」
「俺と同じクラスの仲西 航。茗子に話があるんだってさ」
「初めまして…」
「甚、私たちお邪魔なんじゃ?」
菜奈が甚に言うと、
「いや、大丈夫。居てくれて。」
仲西くんは、にこっと笑顔で続けた。
「告白…しようと思ってたんだけど、こないだ。」
なんのことか分からず、立ち尽くしていると、
甚が私に耳打ちしてくる。
「こないだ渡したろ、手紙。」
あ………。
見ずに捨てていたことを思い出し、
血の気がひく…。
面と向かって、怒られるんだろうか…。
とビクビクしていると、
仲西くんは、穏やかに言った。
「でも、突然知らないやつに告られても怖いよね。俺ももっと茗子ちゃんのこと知りたいし。ってことで、友達になって!!」
と、友達………?
「甚みたいにさ、俺も仲良くなりたいなーと思って。とりあえずさ、今日は四人でカラオケでも行かない?」
「いや、でも、茗子は今……」
菜奈の言葉を遮ってた。
「良いよ、行こ、カラオケ!」
「「えっ?」」
菜奈と甚が同時に驚いた。
今は一人でいたくない。
考えたくないから。
結局その日は四人でカラオケに行った。
みんなが何を歌ってたのか、記憶には無いけどー―ー。