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片想い
「あ、おはよー」
登校途中で仲良しの菜奈に会った。
「おはよ」
いつもどおり歩きながらを返事する。
「どした?元気ない?」
「えっ?」
菜奈は私の顔を見ながら何かを察した。
「朝、会ったんだ?ハル先輩に」
ニヤニヤして言う奈菜に、なぜか声がでかくなった。
「え、な、なにそれ」
「めいこ、かわいいー。動揺しすぎ」
「………」
なにも言えず黙ると、菜奈はいつものセリフを吐く。
「あぁ良いよね~、あんなイケメンの幼なじみ!しかもめいこは特別扱いされててさ!!」
「特別扱いなんて、されてないし」
「彼女になれるのは、めいこしかいないってずっと噂されてたじゃん」
「ただの噂だし。そんなんじゃないし」
「なんで告らなかったの?卒業式…」
「菜奈、もういいって」
「あ、ごめんー―」
菜奈は私の声色に口を閉ざした。
告白なんて出来ないよ、
だって私はただの幼なじみ…。
特別なんかじゃない、
妹みたいなもの。
知ってるんだ、
ハルくんはずっと好きな人がいるってー―ー。