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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
195/283

彼と彼女の存在~甚目線~

(おまえ)どういうつもりだよ」

部室で帰ろうと着替えていると航が聞く。

昼休みに茗子たちと話していた、夏休みに遊ぶメンツの話だろう。


「翔太郎は、良いのかよ?菜奈の彼氏は今あいつだろ」

航がチラッと同じ部室で着替えている翔太郎を見てから、

こそっと、声を潜める。



菜奈は、高校に入った去年の夏休みの最終日、

『同じクラスの長富翔太郎と付き合う』と言って、泣きながら何度も謝った。


同じクラスでもなかった俺は、

菜奈を同じサッカー部の翔太郎にとられてしまったのだ。



「良いんじゃね?別に、元彼(おれ)と二人ってわけじゃねーし」


「なぁもしかして、お前まだ菜奈のこと…」


「つうか、お前こそ、どうなんだよ。杏奈と付き合いだして、もう3ヶ月?4ヶ月?経つだろ?―――ヤることヤッたんだよな?」

これ以上突っ込まれたくなくて、

俺が話題を変えると、航が赤くなる。


「うるせーな…」

「なんで?良いと思うよ、俺は。あのまま茗子のこと追いかけたって、なんのメリットもないしな」

童貞捨てれて良かったじゃん、と言うとなぜか思いきりみぞおちをど突かれた。


「―――茗子ちゃん…なんで澤野咲(おとうと)と付き合いだしたんだろうな…」

暫くして、航が真剣に考えながら言う。


「春先輩にフラれたんだろ…そして押しの強い(さく)に流された…ってとこだろ」

みぞおちをさすりながら、俺が推測する。


「俺だって相当アピってたけどな…」

航が、咲と自分との違いが分からないと悩んでいる。


「別れてないのにアピってただろ、お前は」

俺が呆れて言うと、

「押されてもなびかないのが茗子ちゃんなのにな…」

航が、俺のことばが聞こえていなかったのかまだ考え込んでいた。


「まぁ、お前にはもう彼女(あんな)が居るんだから、いいじゃん」

俺がため息をつきながら言うと、

「………杏奈とは、別れるよ」

航が深刻そうに言う。


「は?お前、何言ってんだよ」

「だってさ…杏奈のことやっぱり彼女として見れそうにないんだ…」

苦しそうに顔を歪めて、航が告白した。


「やっぱり目で追ってるんだ、まだ………茗子ちゃんのこと。」


「航………」

お前は本当に、茗子を諦めない奴だな…。


茗子は常に、あの幼馴染みの澤野兄弟が隣にいて、

普段なら茗子に近づくことすら、なかなかできないのに。


もし、澤野兄弟が幼馴染みでなかったら………、

もし、同じクラスにお前がいて、側にいたら――――、

茗子は間違いなくお前を好きになったんだろうな…。





「頑張ろうな、お互い」

――好きな女の子には、今“彼氏”がいる。


でも…もう一度心を通わせたいんだ…、菜奈。


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