表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
194/283

夏休みの前に…

「あの人でしょ、二年の淫乱女」

「元カレと今カレが兄弟なんてあり得ないよね、フツー」


中間試験が終わり、夏の大会が近づく頃、

こんな声が囁かれるようになった。


ハルくんとサクちゃんは、西高で知らない人がいないほどカッコいいと有名だし、人気がある。


そんな二人と幼馴染みで、澤野兄弟を取っ替え引っ替えしている悪女。

それが私―――。


サクちゃんが一年生の女子を黙らせてから、

一時的に嫌がらせや、悪口は無くなったのに、

最近また、一部の女子に悪口を言われている。

直接ではないけど、私の心に傷をつけるには充分な効果だった。



「うわ、ひがまれてるねー」

一緒に廊下を歩いていた愛梨が言う。

「茗子、あんなの気にすることないんだからね」


「ありがと…」


「あれ?そういえば地区大会優勝したんだって?」


「うん、そうなの!今年もインターハイ出場が決まって」

私が明るく言うと、

「良かったねー!…そういえば、粟野凛は大丈夫?」

愛梨が心配して聞いてくる。


「それが…まだ上手くいってなくて…」

苦笑いで答える。


「怖いな…何企んでるんだか」

愛梨が言う。


「でも、マネージャーとしては何も問題なくやってくれてるし、いつか仲良くできたら良いんだけど…ね」

「粟野がターゲットを変えない限り、それは無理じゃない?」

バッサリ愛梨が言う。







「今年は、去年ウィンターカップで対戦してうちが負けた須賀高校から、合宿に誘われてるんだが…」

「え、そうなんですか?」

職員室に呼び出された私と寛人さんが、顧問の先生から話を聞く。


「すごい…あのインターハイ準優勝のチームが…なんでうちに?」

「さぁなぁ、まぁせっかくのお誘いだし、遠出だけど参加できるやつだけでも行くか?」

先生が言う。

「そうすっね…」

寛人さんが頷く。


「―――相田はどうだ?行けそうか?」

「はい!」

少しでも、役に立ちたいし…。


「じゃあ須賀高校(あちら)さんには、先生から連絡しておく。」

「お願いします」

寛人さんと私は、頭を下げる。



「…ねぇ茗子ちゃん?春とはどうなってんの?」

職員室を出ると、寛人さんが聞きにくそうに尋ねる。


「どうって…?」

「仲直り、したんだろ?」

「…はい」

「だよな…?春もそう言ってたし。じゃあなんで咲と付き合うことになったの?」

「え…」


「俺、ずっと気になってたんだよな…。仲直りしたなら、より戻すと思うだろ、普通」

「私も、そう思ってましたよ…?」

―――寛人さんの言葉に、つい同調してしまった。


「えっ?茗子ちゃんがフッたのかと思ってたんだけど…違うの?」

「………違いますよ…」

―――私は、フラれたんです!

心の中で叫ぶ。


「じゃあなんで(あいつ)…」

ボソッと寛人さんが呟く。

「何ですか?」

「あぁ、いや、何でもない!!」

寛人さんが慌てて取り繕うように笑う。

「合宿、頼むね」

「―――はい」




「もうすぐ夏休みだなー。」

教室に戻ると、航くんが愛梨と、隣のクラスから来ていた甚と菜奈、彩と楽しそうに盛り上がっていた。

「今年も花火大会行こうぜ、皆で」

「いやいや今年航は、杏奈ちゃんと行くんでしょ?」

彩がツッコんで言う。


「あ…そうか」

航くんが思い出したように言うと、しゅんとしてしまう。


「あ、茗子、おかえり」

菜奈が私に気付いて笑顔で言う。


「夏休み、皆でどこか遊びに行かない?」

彩が言う。

「インターハイのあとなら…」

私が言うと、

「じゃあこのメンバーで決まりな!」

甚が言う。


――ーわぁ…楽しそう!

夏休み皆で遊ぶ日が、待ち遠しく感じた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ