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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
190/283

この関係のまま

スポーツ大会で、

サクちゃん達1年A組は、サッカーの部で優勝した。


「サクちゃん、やっぱりすごいね!サッカー続ければ良いのに。」


帰り道。

私は、ハルくんにフラれたことを隠すために、精一杯明るく振る舞う。


『俺は茗子とやり直すつもりはない…』


ずっと頭を支配しているハルくんの言葉。

考えても分からない、…私はハルくんが好きなのに。

仲直りしたのに―――。


「茗子、どした?」

サクちゃんに言われて、我に返る。

――――しまった!サクちゃんは勘が鋭いから気を付けないと…。


「何でもないよ!私は負けちゃったから悔しいなーって考えてただけ」

慌てて笑顔で答える。



「お、二人も今帰りか」

家に着く手前で、ハルくんと会う。

――――ハルくん…。


「なんだよ、春。茗子が言っただろ、もう話しかけるなって」

「仲直り、したから」

サクちゃんが私を隠すようにしながらハルくんに言うと、

ハルくんが微笑んで言う。


「は?仲直り…ってなんだよ」

サクちゃんが動揺したように言う。


「ね、茗子?」

ハルくんが私に確認する。


「―――うん…」

複雑な想いを隠して、私は笑顔を作って頷く。


「そんな、怖い顔すんなよ。別に、咲の邪魔するつもりないから。―――じゃあね、茗子」

ハルくんが笑顔で言うと、先に家に入っていった。



私は張り裂けそうな気持ちで、ハルくんの姿を見つめた。





「茗子、春に何言われた?」

サクちゃんが家の前の公園に私を連れ出すと、ブランコに座りながら真面目な顔をして、尋ねる。


「謝ってくれたの、修学旅行でのことと、比嘉先輩に嫉妬してひどいこと言ってごめんって…」

私が笑顔を作って明るく言う。


――――嬉しそうに、言わないと…。

仲直りしたことになってるんだから…。


突然、ブランコから降りたサクちゃんが、私を抱き締めた。


「え、ちょっと…離して」

私が驚いて固まっていると、

「茗子…どうしてだよ…」

サクちゃんの声が耳元で聞こえる。

―――切なくて、つらそうな声。


「こんなに好きなのに…ちっとも振り向いてくれない」


「サクちゃん…」


「頼むから…俺のことも見てよ…」


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