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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
188/283

説得~春目線~

「だから言っただろ?咲にとられる前により戻せって…」

試合が終わって、歩いていた俺に寛人が言う。


「本当にこれで良かったのかよ?」

「………」

「寛人が言うのも無理ないわね」

俺が黙っているところに、かすみの声がした。

「かすみ…」

かすみが俺と寛人の前に来て言う。


「―――次の準決勝、咲くんのクラスと当たるわね」

かすみがトーナメント表を見ながら言った。



「春…本当のこと、ちゃんと茗子ちゃんと話してよ」

「なんでかすみが気にするんだよ」

俺が笑って誤魔化そうとすると、

「私の時みたいに、なって欲しくないからだよ」

かすみがいつになく必死な顔で言う。


「ちゃんと本音で、話してよ。私はあの時…ちゃんと話せばよかったって、…後悔したんだから。」

かすみが罰の悪そうな顔で言う。


「千鶴たちに聞いたわ…修学旅行でのこと」

「そう…」

俺が素っ気なく応える。

「どうして、そんな皆に優しくするの?どうしてすぐ千鶴(たにん)の気持ちとか考えちゃうの?“彼女”がどんな想いするか、分かってない!」



――――かすみが、どうしてこんなに怒るんだ…?


「ちゃんと謝って、茗子ちゃんに。そして、仲直りしてよ…」

「かすみ?」

「こんな結末じゃ、あの時の私が浮かばれないじゃない」

かすみがうつ向いて言う。

――――泣いてるのか?


「ごめん…」

「私じゃなくて、茗子ちゃんに謝って!」

俺が謝ると、かすみが涙目の顔を上げて俺に言った。


「わかった…謝るよちゃんと」

俺はかすみに微笑んで言う。

――――かすみは、本当に真っ直ぐだな。

好きだな、やっぱりそういうところ。



―――でも…もう茗子と仲直りできたとしても…付き合わないけどな…。





試合が始まり、咲達一年生と対戦する。


素人の俺達は、やっぱり咲には全く敵わなかった。

咲一人にあっさりやられてしまう。


――――元々、咲と茗子が付き合えば良いとか思ってたんだよな…そう言えば。


咲がドリブルしているボールを追いかけながら、

俺はそんなことを思っていた。


――――二人が付き合い出して、咲は夢が叶ったんだ。

俺が邪魔することはない。


それに…もし、今から茗子と付き合えたとしても、

数ヶ月したら、また、茗子を泣かせてしまうから。


茗子の側に居るべきなのは、今は俺じゃない。

――――咲だ。



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