スポーツ大会
「スポーツ大会についてですが、今年の種目はバスケ、サッカー、バレーボール、野球になりました。運動部の人は、やっているスポーツ以外のものにして下さい。」
クラス委員の花井さんが言う。
「では、聞いていきます―――」
私は今年もバスケに手を挙げた。
「―――相田さん、バスケ部でしょ?」
花井さんが冷ややかに言う。
「え、でもマネージャーだからバスケしてるわけじゃ…」
私が言うと、
「まぁ良いわ…」
花井さんがため息をつきながら仕方ないというように言う。
――――なんか私、花井さんにすっかり嫌われたな…。
花井さん、もしかしてハルくんのこと好きなのかな…。
「じゃあ、バスケは、仲西さん、鈴木さん、相田さん、川合さん、田中さんね」
「――――次、サッカーやりたい人…」
次々決めていく花井さんを見ながら、私はため息をついた。
今年も航くんと愛梨とバスケ出来るのか。
―――去年は怪我して途中から出れなかったからな…今年は気を付けよ…。
―――あとの二人は、
川合 南くんと田中 肇くんか。
初めて同じクラスになったから、どんな人なんだろ…。
次の休み時間、
早速川合くんと田中くんが愛梨といる私の席にやってきた。
「相田さん、バスケ頑張ろうなー」
「よろしくー」
笑顔で二人が言う。
「ちょっと、あんたら茗子しか見えてないわけ?私も居るんですけど!」
愛梨が立ち上がって言う。
「あ、鈴木さんもよろしく…」
苦笑いで川合くんが言うと二人はさっさと席に戻っていった。
「ったく…あいつら茗子目当てでバスケにしたな…」
二人を見ながら、舌打ちして愛梨が言う。
「あ、茗子ちゃんと愛梨、今年もバスケ頑張ろうな!」
どこかから教室に戻ってきた航くんが私達の席の前を通るとき、言う。
―――今、“あいり”って呼び捨てした?
私は驚いた。
――――今まで“鈴木さん”じゃなかった?
「航も、よろしくねー」
愛梨が笑顔で返す。
――――愛梨も、“航”って呼び捨てした…。
笑顔で会話してる目の前の二人に、
なぜか私は胸の中がモヤモヤした…。
―――なんだろう…この嫉妬みたいな感情は…。
「今年も昼休み、練習しようよ」
愛梨が楽しそうに言う。
「良いね、やるか!あいつらにも声かけとくわ」
航くんがそう言って、川合くんと田中くんのところに行ってしまう。
「茗子ちゃん?どうかした?」
愛梨が私に、様子を伺うように言う。
「あ、ううん…何でもない」
私は急いで笑顔を作って、答える。
――――何でも、ない…?
【スポーツ大会メンバー発表】
1年A組
●サッカー
澤野 咲
笹井 杏奈
武田 護
1年B組
○バスケ
粟野 凛
山口 朝陽
二年A組
○バスケ
相田 茗子
仲西 航
鈴木 愛梨
田中 肇
川合 南
二年B組
○バスケ
佐伯 菜奈
西原 甚
中宮 彩
長富 翔太郎
●サッカー
仁科 崇
三年A組
●サッカー
澤野 春
佐藤 かすみ
安達 千鶴
三年B組
●サッカー
金井 寛人
岡田 紗栄子
中野 美穂