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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
183/283

渦中の人

「一日にして、公認カップルになった感想は?」


翌朝、彩が待ち構えていて、私に聞く。

あまりに自然で…まるで同じクラスのよう。


「…うん、しんどいね…。

新しく入ったマネージャーの子には宣戦布告されるし…」


―――そして朝練で、シカトされた。


「新しくマネージャー入ったんだ?」

「うん、粟野凛ちゃんっていうんだけど―――」

「粟野っ…ってあの粟野?」

彩が驚いたように愛梨と顔を見合わせる。

「うわ…そこに粟野凛がキタか…」


「え?二人とも知り合い?」

私が聞くと、

「粟野は私の中学のバスケ部の後輩だよ」

彩が言う。

「うちらの中学では、有名だったの。狙った男は絶対オトす…魔性の女。」


――――うわ、かっこいい…。


「茗子、なにボケッとしてるの?」

「へ?」

彩が焦ったように言う。

「マジでヤバイって…あいつを敵にまわすと」

愛梨も真顔で言う。


――――ごめん、二人とも。

まさか、付き合ってるフリだとは思ってないもんね。

本気で心配してくれて、ありがとう。

私は、心の中で謝った。




「なんか、茗子、春先輩と付き合ってた時より余裕だね」

彩が私の顔をじーっと見ながら言う。

「えっ」

「よほど自信があるのね。愛されてるって」

愛梨がうっとりと頬を赤く染めて言う。


――――本当、ごめん。いつか話すから。





「相田さん、生徒会の集会始まるよ。一緒に行こ」

昼休みに花井蘭子さんに誘われて、生徒会室に向かう。


「相田さん、会長と別れてその弟さんと付き合うなんて、本当すごいわね」

刺々しい口調で花井さんが言う。

「会長がかわいそう…」


「かわいそう?」

思わず私が聞き返すと、

「“彼女”だから書記に指名したのに、別れてすぐ、しかも弟と付き合うなんて、会長からしたら堪んないわよ」


――――確かにサクちゃんと付き合い始めたって噂は三年のところにまで届いてると思うけど。


ハルくん少しは気にかけてるのかな…。


って、もう私には関係ないんだから。


「失礼します、お疲れさまです」

花井さんと生徒会室へ入る。


生徒会室にいた全員が私を見る、

―――ハルくんを除いて。

「?」

――――視線が痛い…。


「―――では、来月のスポーツ大会についての…」

ハルくんが議題をあげ、話を進める。



私…ここで何やってるんだろう…。

いたたまれない空気の中、私は早く終わってくれと祈った。




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