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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
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新しい彼氏

「ちょっと…ちょっとちょっと!」

朝、教室に入ったら、愛梨と隣のクラスの菜奈と彩が私を待ち構えていた。


―――ーデジャブ…?前にもこんなことあったな…。


「春先輩じゃなくて、咲くんと登校してたの?今日」

菜奈が言う。

「ーーーあぁ、うん」

私が目をそらして言う。

ーーーーなんで私が誰と登校したとか、イチイチ噂になるのかな…。


「春先輩は?」

彩が聞く。

「ケンカして…もう一緒に居たくないって言ったの」

「え、誰が?」

愛梨が急かすように聞く。

「私が…」

「「えっ」」

私が言うと、同時に三人がでかい声で驚く。



「茗子が…春先輩にそんなこと…?」

菜奈が信じられないという顔で呟く。


「それで、弟くんと登校してきたんだ。でも、どうするの、一年生、黙ってないと思うよ…」

愛梨が言う。

「大丈夫…多分」

私は曖昧に言葉を濁す。

「何が大丈夫なのよ?」

彩が訳が分からないと言うように私に身を乗り出して聞く。


「それが…」

――――サクちゃんと、付き合い出したことを小声で言うと、


「「えっ…」」

また三人が同時に驚いた。


ーーーー期間限定で、しかもフリなんだけど。


それはここでは言わないでおくことにした。

ーーークラスのみんなが聞き耳を立てているから。


「茗子…」

菜奈がクラスに戻る前にこそっと言う。

「あとで、話そう」


―――菜奈はきっと、何かあったと察している。


「うん…あとでね」

私も頷いて手を振る。




でも昼休み、菜奈に会いに行く前に、

この間の一年生に囲まれてしまった。


「相田先輩!どういうことですか、澤野くんと付き合ってるって」

「幼馴染みって言ったじゃないですか!」


――――うわ…情報早…。


噛みつかれそうな勢いで、私が困っていると、


「お前ら…マジいい加減にしろ」

サクちゃんが私のクラスの前に現れた。

「茗子にとやかく言ってんじゃねー」


「さ、澤野くん」

サクちゃんに怒られて、

一年生の女子達がしゅんと静かになった。


「俺が、茗子を好きなんだよ。邪魔すんな。今度茗子になんか言ってたらマジで許さねぇからな」

凄みのある目で睨まれて、女子たちは涙目で走っていった。


「サクちゃん…」

「ごめんな茗子、早速迷惑かけて」

私の頭をクチャッと撫でる。


「ちょっと…!」

髪が乱れて、手ぐしで直す。

サクちゃんは笑いながら、行ってしまった。


――――この昼休みの一件で、

サクちゃんと私が付き合っているという噂は、

瞬く間に全校生徒に広がった。




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