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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
179/283

きょうだいゲンカ

「あ…」

「なんでって顔だな」

朝家を出ると、ハルくんと…サクちゃんが家の前で待っていた。


「た…誕生日、おめでとうサクちゃん!」

驚きながらも私が言うと、

「なんで俺のこと避けてたんだよ」

サクちゃんが私を責めるように言う。


「だから一年生の女子に言われたから…」

ハルくんが説明しながら間に入ってくれる。

(おまえ)には聞いてねー。」

サクちゃんがハルくんを突き飛ばして、

私に向き直る。


「一年の女子に言われたから?…そんなの関係ないだろ。俺が茗子と一緒に居たいんだから」


「え?」

――――サクちゃん?


「俺と付き合って」

「―――え…」

サクちゃんの突然の告白に驚いて私は思考が停止した。


「こいつとは別れたんだろ?」

「そうだけど…」

―――やめてよ…ハルくんの居る前で…。

「ごめん…サクちゃん」

私は謝る。


「茗子“ちゃん”には、他に好きな人いるんだ」

ハルくんが横から言う。


――――他に好きな人?

やばい、ハルくん私の気持ち気付いてる…?

私がまだハルくんに未練タラタラなこと。


私が困惑していると、

「茗子の好きなやつって誰だよ」

サクちゃんがつっこんでくる。


(おまえ)は知らないよ、もう卒業したから」

ハルくんが吐き捨てるように言う。


――――え?

「ハルくん、それって…まさか比嘉先輩のこと?」

「そうだろ?」

私がおそるおそる聞いてみると、

ハルくんが先を歩き出しながら言う。


「違うよ、ハルくん!」

私は後を追いかけながら大声を出す。


「どうして…?比嘉先輩とは何にもないのにこの間からどうして比嘉先輩のことばっかり…」


「クリスマスに会ってただろ、俺には黙って」


「黙って、って…偶然街で会ったからで別に待ち合わせしてたわけじゃないし…」


「会ったから、デート?」

ハルくんが私と目も合わせず、早足で歩く。

「で、デート?そんなことしてないよ、ただ話を聞いてもらってただけで」

私はあの日のことを思い出しながら言う。


どうして、また…

あの日のケンカをまた繰り返してるの?


「話って?」

「ハルくんが不機嫌そうにしてたから…それに私が修学旅行でのこと聞いたばかりでショックで……」

「愚痴ってたんだ、比嘉先輩に」

ハルくんが冷ややかに言う。


――――まただ…。私ばっかり責められてる。


「ハルくんが他の人にキスなんてするからでしょ?」

――――あの日と同じように、私が言う。



「だから比嘉先輩に慰めてもらってた?」

「おい春、そんな言い方ー―――」

サクちゃんがハルくんの肩を掴んで言いかけた。

「サクちゃん、良いよ……もう。」

――――私は泣きながら、呟く。



悲しくて、悲しすぎて…

必死に言い聞かせてどうにかごまかしていた気持ちが一気に飛び出した…。


――――ハルくんとは、終わったんだから。


好きだった気持ちも、心の奥から一気に飛び出して、

どこかに行ってしまった気がした。



私が好きだったハルくんは、もう居ない―――。


ハルくんは…修学旅行の日から居なくなってしまったんだ。


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