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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
178/283

誕生日プレゼント

日曜の練習試合は、ハルくんの活躍で圧勝だった。


監督の指示で途中からサクちゃんも試合に出て…、

サクちゃんも初めて試合に出たとは思えないドリブルをして、相手のディフェンスをかわしていた。


結果、総当たり戦で全勝だった。



夕方に片付けも終わり、

ハルくんと約束どおり帰りに街へ二人で出掛ける。



「今日凄かったね!!ハルくんシュート全部決まってたし」

私が興奮覚めやらず、話す。

「サクちゃんも、初めてなのにあんな簡単にドリブルシュート決めてたし」



「うん」

ハルくんが苦笑いで頷く。


「あ、ハルくんこれ見て」

―――雑貨屋さんに入り、

かわいいウサギのぬいぐるみを見つけてハルくんに言う。


「それ、茗子が欲しいやつだろ…」

ハルくんが笑って言う。


「あ…」

―――サクちゃんの誕生日プレゼント買いに来たのに…すっかり忘れてた。


恥ずかしくなってすぐに棚にウサギのぬいぐるみを戻す。


「何が良いかな…ハルくんなら何欲しい?」

聞いてから、ハッと気付く。

――――これじゃまるで、

ハルくんにプレゼントしたいみたいな…。


「俺なら一緒に過ごしてもらえたら、何も要らないな」

ハルくんが真顔で私を見つめて、即答する。


――――あれ、その言葉…前にも聞いた。

それって、去年の誕生日プレゼント…。


私に言ってる?

違うよね?


今の私は、ただの幼馴染みの“妹”なんだよね?


「あ、じゃあお揃いでリストバンドにしよっかな」

私が去年ハルくんにあげたものを提案する。


「それはやだな」

ハルくんの表情(かお)が曇る。


「え…」

だって、あれは私が彼女としてあげたものだから。

今も使えるようにするには、そうした方が自然だよね…。

それとも、もう使いたくない?


私が戸惑っていると、

「それより、なんかお菓子とかにすれば?あいつ甘党だし」

ハルくんが急に思い立ったように言うと、

デパートの地下の洋菓子店に向かって歩き出す。


――――え、ハルくん?

慌てて私も後を追う。


「本当に、お菓子でいいの?」

「喜ぶって、大丈夫」

私の言葉に、ハルくんが必死になって言う。


――――これは、ヤキモチ?


私は…聞けないし、言えなかった。

この関係すら壊れたら…

私はきっと立ち直れないから――――。







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