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いっこの差  作者: 夢呂
【第三章】
173/283

気持ち新たに ~咲目線~

「なんでお前がここにいるんだよ」

入学式が終わって教室に戻ると、

なぜか仲西 航が、俺に会いに来た。


「なんで?仲西先輩には関係ないですよね?」

俺が苛立っている仲西にあえて無表情で言葉を返す。


「お前と一緒にサッカーなんて出来る気がしねーんだよ」

仲西がさらに苛立ちながら言う。

「俺がいつサッカー部に入ると言いました?」

「は?」

俺の言葉に、仲西は戸惑った反応をする。


「安心して下さいよ。俺サッカー部には入部しませんから、仲西先輩。」

「な、なんでだよ」

仲西がさらに戸惑っている。

――――なんだ、こいつ。

素直に入れって言えばまだかわいいのに。



「航先輩!」

俺と仲西が睨み合っていると、

同じクラスの女子が教室に入ってきてすぐ、

嬉しそうに仲西に飛び付いた。


「もしかして、杏奈に会いに来てくれたの?嬉しいー!」

クラスの注目が、仲西と“杏奈”に集まる。


「いや、俺は澤野 咲と話があって」

「杏奈のところに…来てくれたんじゃなかったんですね…」

仲西の言葉に、

“杏奈”がわざとらしく悲しそうな顔をする。


「俺…戻らないと。澤野、まだ話は終わってないからな!」

よく分からない捨て台詞を吐いて、仲西は二年生の校舎へ帰っていった。


「あなた…航先輩の何なの?」

笹井杏奈が俺を睨んで言う。

「何でもねーよ。向こうが勝手にケンカ売ってきただけだ」

俺が面倒くさいのを堪えて説明する。


「ふーん…」

信じられないような目で俺を見る。



「ねぇ、笹井さん!さっきの二年生の先輩…もしかして、彼氏?」

女子が笹井杏奈に興味を持って話しかけた。


「えー!彼氏だなんて…彼氏だけどぉー」

照れてるのか、ぶりっこなのか知らないが、

スゲーイラつく女。


こういう女、本当関わりたくねー。

俺は頬杖をつきながら、窓の外に目をやる。


ここが…去年茗子の居た教室か…。


この教室に茗子は居ないのに、

そう思うと少しだけ嬉しくなった。


――――優美高校に進学するのをやめた。

・・・サッカー部もやめた。

………茗子を諦めるのも、やめた。


ここから、新しく始める――――。

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