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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
169/283

卒業式

季節はあっという間に冬も終わりに差し掛かった。



「先輩、卒業おめでとうございます」

嘉津先輩や、他のバスケ部の先輩にバスケ部の部員で挨拶をして花束と寄せ書きを渡す。


「ありがとう」

泣いたりしながら、みんなで写真を撮ったり、

別れを惜しんだ。


「…相田、春と…別れたんだってな」

嘉津先輩が私に話し掛けてきた。

「あ…はい」

「そうか…大変だろうがバスケ部のこと、頼むな」

「はい。嘉津先輩も、大学頑張って下さい」

「おう」

私が微笑んで言うと、安心したように先輩も笑う。



「相田ちゃん、俺とも写真撮ろうぜ」

「いや、俺が先だから!」

ーーー他の先輩たちに囲まれて、嘉津先輩とはそれきりになった。



「メイコちゃん」

「比嘉先輩…」

写真撮影からやっと解放されて、一息ついているところに、比嘉先輩がやって来た。

「卒業おめでとうございます」

「あーぁ、メイコちゃんと離れるのはつらいなー」

比嘉先輩がわざと茶化して言う。


「…すごい、花束ですね」

「うん。女の子にもらったんだ」

「さすがですね」

「妬いてんの?」

「あり得ません」

私が真顔で言うと、比嘉先輩が笑った。


そして、心配そうに言う。

「メイコちゃん、別れたらしいじゃん…大丈夫?」

「大丈夫です」

「じゃあ俺と付き合う?地元の大学だし、問題ないっしょ」

「付き合いません」


「なんで?」

「先輩が別に好きじゃないからです」


「うわ…相変わらず俺には厳しいのな」

「ごめんなさい」


「じゃあな、バイバイ」

私が謝ると、先輩は去っていった。




「ーーー茗子ちゃん、先輩と話終わった?」

「ハルくん…」

いつのまにか、ハルくんが隣にいた。


「部活、急がないと」

「あ、うん。」

私はハルくんと体育館に戻る。



ーーーー来月には、二年生。

そして、ハルくんは…三年生。


この差が埋まれさえすれば…

すれ違うこともなかったのかな……。



どうしてあと一年早く…

産まれてこなかったんだろう…。



考えたって仕方のないことなのに、

私はそんなことを思いながら…前を走るハルくんの背中を追いかけた。




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