親友として~甚目線~
「別れたらしいよ、相田茗子と澤野会長」
朝練を終えて、教室へ入るとそんな話が耳に届いた。
「えーまじ?じゃあ澤野先輩、今彼女募集中?」
女子達が浮かれて騒がしい。
「え、でも相田さんはこの間別れてないってハッキリ言ったけど?」
副会長になった、花井蘭子が浮かれている女子たちに言う。
「え、でも今朝、相田さんめっちゃ泣いてたらしいよバスで」
ーーーー今朝?
「うわ…バレンタインデーに別れ話なんて、澤野会長って意外とひどいのな」
男子が茗子に同情するように言う。
ーーーー茗子、大丈夫か?
「ちょうど良かった、甚…」
茗子のクラスへ顔を出そうと廊下に出ると、
菜奈に話し掛けられる。
「茗子の噂、今クラスで聞いて」
「うん、俺も」
菜奈が心配そうに、茗子の様子を伺う。
「なんでこんなことに?」
菜奈が嘆くように言う。
「俺も…分からない。何も聞いてなかったし。ただ、修学旅行の後に、何かあったらしい…」
菜奈が俺の話を聞いてから、つらそうに言う。
「私が甚を裏切ったから…茗子に避けられるようになっちゃって…」
「別に俺らのことは関係ねーだろ」
「ううん。茗子に責められた…。それでついひどいこと言っちゃって…」
「親友なのに…最低だわ、本当」
菜奈が苦笑いで言う。
「仲直りしろよ」
「うん…許してもらえるなら…」
菜奈が弱気な発言をする。
「茗子なら大丈夫だろ」
「そだね…甚…ありがと」
「おう」
話しながら、二人で茗子の様子を伺う。
茗子には、今、航や鈴木さん、中宮さんがついてる………でも。
「あとで、三人で話そう。昼休みに」
「うん」
俺の提案に、菜奈が頷く。
始業のベルが鳴り、慌てて菜奈と俺は、
お互いのクラスへ戻った。