二人の現状~航目線~
「わざわざ呼び出された理由は分かるわよね?航クン?」
かすみに放課後呼び出された俺はドキドキしながら、後をついていく。
「なんだよ…」
ぶっきらぼうに言うと、
「ちょっと、なんで分かってないわけ?」
かすみが呆れたように言う。
「春と茗子ちゃんのことに決まってるでしょ?」
「は?」
――――なんだよそれ…。
「まさかあんた、私に告白でもされるとでも思ったわけ?」
冷ややかな目でかすみが言う。
「そっ、そんなこと思ってねーし。つか、されても困るし」
なぜか動揺してしまう。
「しないわよ、バカね。私には、彼氏がいるの。知ってるでしょ、サッカー部なんだから。」
当然のようにピシャリと言われる。
「春と茗子ちゃん、最近うまくいってないでしょ?航、茗子ちゃんのこと何か知らない?」
「知らねーし。てか、かすみには関係ねーだろ」
俺が素っ気なく言うと、かすみが珍しく声を荒げた。
「関係なくない!二人が上手くいってないと困るの。」
――――なんだ結局、
春先輩に未練たっぷりなのかよ。
まぁ…ヒトのこと言えねーか…。
「冬休み明けからじゃね?様子がおかしいの。」
俺が言うと、
「やっぱり…そうよね…」
かすみが頷く。
「かすみ、あんまり深入りしない方が…」
俺が忠告しようとすると、
「深入りなんて、してない。友達として心配してるだけ」
――――へぇ…友達ね…。
友達なら直接聞けばいいのに。
俺なんか呼び出さなくても。
「あ、やばい。部活急がないと。行くよ、航!」
かすみが走り出す。
――――かすみには、振り回されっぱなしだな…。
それにしても、
本当にどうしたんだろう、茗子ちゃん…。
きっと俺には…話してくれないだろうな。
友達として、まだ信頼されてないし。
――――されるわけないか、
俺が友達として見てないんだから…。