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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
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噂話

「嘘だよね?茗子ちゃんっ」

冬休みが終わり、登校するとすぐ、

愛梨ちゃんがすごい勢いで私の席に来た。


「嘘?何の話?」

私が言うと、

「春先輩と別れたって話だよ」

彩が愛梨が言うより先に口を出す。


―――別れては、ないと思うけど…。

でも実際、別れようって言われるのが怖くて避けて、逃げてる現状を見れば、周りからはそう噂されても仕方ない。


「うん、多分…」

「多分って何?ケンカでもしたの?」

「うん…なんか色々重なって…」


「話なら聞くよ?」

愛梨が優しく言う。


「ありがとう…でも大丈夫!」

私が言うと、

「その顔のどこが大丈夫なのよ…」

呆れたように彩が言う。

「良いの?春先輩のファン、急にアピールし出したけど…」

愛梨が畳み掛けるように言う。

「特に三年生…卒業間近だからじゃない?」



ー―――そんな…ハルくんをとられるのは絶対嫌だ。


だけど…今の私には、ハルくんの隣には居られない。

ハルくんが私を必要としていないから。



「愛梨が余計なこと言うから、茗子がますます落ち込んだじゃない!!」

彩が愛梨に言う。

「ごめん、そんなつもりじゃ…」

愛梨がすまなそうに言う。

「大丈夫、大丈夫」

自分に言い聞かせるように私は呟いた。





「相田さん、今日の昼休み生徒会室に集合なの忘れてる?」

昼休みに彩と愛梨とのんびりごはんを食べていると、

隣のクラスの花井さんが、息を切らせて私に言う。


「あ…」

私は思い出して、真っ青になる。

「先輩たち、待たせてるよ急いで」

「ごめんなさい…」

「謝るのはあと!」

花井さんが言いながら走り出す。

私も後について走る。



「遅くなって、すみません…」

生徒会室について、私はすぐに謝る。

「花井さん、ありがとう。座って?」

私が頭を下げても聞こえていないように、

生徒会長のハルくんが花井さんに言う。


「では、揃ったようなので生徒会活動報告会を始めます」

ハルくんの声が生徒会室に響き渡る。


―――――ハルくん、まだ怒ってる?私が悪いの?


どうしたら、許してくれるの?

仲直りできないのかな…。


張り裂けそうになる気持ちを抑えて、

黒板に意見を書いていく。



「今日の報告会での意見、まとめたら提出してくれる?」

報告会が終わると、花井さんに言われる。

「あ、はい…」


「ところで相田さん、会長とどうなってるの?」

「え…」

「別れたって噂、本当?」

花井さんに小声で聞かれる。


「違います」

私はすぐに答える。


「あれ?そうなの?」

花井さんが意外そうな顔で言う。


「私てっきり…」

「私に聞かないで、ハルくんに聞いてください」

花井さんの言葉を遮るように言うと、

先に教室へ向かう。



―――別れたいのかどうかなんて、私が知りたいよ。


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