応援
「大会、明日だっけ?頑張ってね」
部活に行こうとした私に彩が言う。
「ありがと。まぁ…頑張るのは…私じゃないけどね」
私は苦笑いで答える。
ーーー私はただのマネージャーだから…。
「いよいよ、明日だ!!皆今日は怪我しないように、真面目に練習しろよ!」
寛人さんが言うと、なぜか笑いが起きる。
ーーー本当和ませるの上手だな…。
寛人さんが部長になってから、チームが前より明るくなった気がする。
ーーーー練習が終わって、
私が片付けをしていると、寛人さんが着替えたところだった。
「茗子ちゃん、いつもありがと」
「え?いえ…明日頑張って下さいね」
「おぅ!」
寛人さんが笑顔で言う。
ーーーーいつもの、寛人さんだ。
翌朝、みんなで試合会場に向かう。
「澤野くん、頑張ってね」
そこになぜか、ハルくんと同じ二年生の先輩達がいた。
「あれっ、足立に中野…岡田もいるじゃん…なんでここに…?」
寛人さんが言う。
「なんでって、澤野くんの試合見に来たんだよ」
「てか、寛人も出るの?」
「俺の扱い酷すぎだろ…。こう見えて一応部長なんだぞ」
寛人さんと仲良さそうに話している。
「ハルくん…同じクラスの人?」
「あ、うん…」
私が聞くと、ハルくんが浮かない顔で言った。
ーーーー同じクラスの…。良いな…。
てか、わざわざ応援に来るなんて…。
ハルくんのこと、好きなのかな…。
視線を寛人さんと話してる先輩達に戻すと、
一人の先輩と目があった。
私が軽く会釈すると、
その先輩がニコッと微笑んだ。
私はその人の微笑みにどんな意味があるのか、
そのとき全く気付かなかった…。