ウインターカップまでのカウントダウン
二年生が修学旅行から帰ってきて、数日後のこと。
いつものように部活を終えて、片付けをしていた時。
「そうだ、寛人さん!ウインターカップの組み合わせなんですけど」
「ん…?あっ、め、茗子ちゃん…」
私がバスケ部の部長、寛人さんに話し掛けると、
なんだか寛人さんの様子がおかしいことに気付いた。
「?寛人さん、どうかしたんですか?」
「えっ、なんで?」
寛人さんの声が裏返る。
まるで…動揺してるみたいに…。
「それより、茗子ちゃんウインターカップがなんだって?」
「あ、ウインターカップでの組み合わせが発表されたんです。うちのチームは…12月24日ですね。相手チームは須賀高校です。」
「そっか…クリスマスイブかー、まぁ予定もないからいいけど。」
寛人さんが自虐気味に言う。
「去年はどうだったんですか?」
「去年は、予選でダメだったんだ…。俺たち今年が初めてのウインターカップ!」
ーーーーそういえば、
去年はハルくんとクリスマス過ごしたな…。
私は南高の受験の前日で…。
「寛人と二人でなに話してたの?」
ハルくんが帰り道で、私に尋ねた。
「ウインターカップの話だよ、部長に組み合わせの報告してたの」
「そう。」
「クリスマスイブだって、西高。対戦相手は、須賀高校。ーーーなかなかの強敵だよね。」
やきもちなのか、不機嫌そうなハルくんに、
私は話しかける。
「寛人、なんか言ってた?」
「え?なんかって?」
「いや、何でもない」
「あ、でもなんか…様子はおかしかったかも…私が話し掛けたらすごく驚いてたというか」
「だよな…」
私の言葉に、ハルくんが呟くように言う。
「?ハルくん、何か知ってるの?」
「いや…」
私が聞いても、ハルくんは言葉を濁すだけだった。