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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
153/283

修学旅行中に ~春目線~

「澤野くん、ちょっと良いかな?」

ホテルで夕御飯を食べ終わり、部屋に戻る途中で、同じクラスの女子に声をかけられる。



「お前、本当すげーな…」

寛人が呆れたように俺を見る。


---またか。



「話って何?」

俺が人気(ひとけ)のない所までついていって、

先に口を開く。


「私ね、ずっと…澤野くんが好きで…」

「………」

「これからも…好きでいても良い?」

潤んだ瞳で見上げてくる。

「ーーー俺、彼女いるから」


「知ってる…でも私は」

「ーーーもういいかな?部屋戻らないと」


「澤野くん…」

泣き出す女子を置いて、俺は部屋に戻る。


ーーーーごめん、でも…優しくすると、きっと茗子が悲しむから。




部屋に戻ると、

相部屋の寛人と、あと同じグループの山田と佐藤が騒ぎ出す。


「春、お前……この修学旅行に何しに来てんだ?」

「告られるために来たんなら帰れー!」

「お前ばっかりモテやがってー!」


「………」

ーーー人の気も知らないでコイツら…。


「ーーーあ、怒った?ごめんごめん…」

俺が無視すると、寛人が悪ノリしたことを謝る。





四人でホテルの最上階にある温泉に浸かり、ホテルの浴衣を着て部屋に戻る。


「…お前、隠し撮りもされてるよな…。女子たち、観光地を撮るふりしてお前撮ってるとこ、俺見ちゃったし…」

佐藤が思い出したように言う。


ーーーマジかよ…。気付かなかった。


「モテるのも、困りもんだな…」

それを聞いて山田も同情してくる。

「じゃあ、俺たち女子の部屋行ってくるわー」

佐藤と山田は俺と寛人の部屋を出ていこうとする。

「寛人も来るか?」


「行く行く!ーーー春も行こうぜ?」

寛人が俺を振り返って誘う。

「いや、俺は…」


「思い出作りだろー、行こうぜ、ほら」

無理やり腕を引っ張られる。

「そうだな、春がくれば女子のテンション違うしな」

山田も一緒になって、俺を連れ出そうとする。


ーーーー思い出作りか…確かにな。

相変わらず女子との距離感がつかめなくて、

避けてきてたけど…。


最後の思い出くらい、コイツらと騒ぎたいし。


ーーー俺も一緒に行くことにした。




「こんばんはー」

女子の部屋をノックすると、

「え!うそ…澤野くんも来てる!!」


「ちょっと待って私すっぴんだし…」

慌てて女子が支度し始める。



「春がいなかったら、すっぴんでも良いってことかよ…」

寛人がため息混じりに言う。



「ーーートランプしようぜ、トランプ。」

「じゃあ、ババ抜きからかな」

「罰ゲームしようぜ、負けたやつ」


「罰ゲーム?」

佐藤の提案に皆が聞き返す。


「一番に上がった人が、最後ジョーカー残った人に、罰ゲームとして何でも言える権利!」

佐藤が、楽しそうに言う。


「えー何それー」

「王様ゲームみたいー」

女子達は文句を言う。


「おい、春…。」

隣にいた寛人がこそっと言う。

「お前…女子に狙われてるぞ…負けるなよ」


「え、だって嫌がってるし罰ゲームは無しだろ?」

俺も小声で返す。

「馬鹿か…嫌がってるふりだ。どう見ても全員戦闘モードだろ」

「え…」

俺が驚いていると、


「ちょっと寛人、なに澤野くんとこそこそ喋ってるの?」

女子に突っ込まれ、寛人が慌てて輪の中に戻る。


「べつに?何でもない」

寛人が笑いながら言う。




ババ抜きが始まると、

確かにゲームを楽しんでいる人はいない………

みんな真剣な顔で…なぜか必死になっていた…。




ーーーーなんだよ、この空気…。

やっぱり自分の部屋に残れば良かった…。



「!!」

そんなことを考えながら何気なく寛人の手からトランプを選ぶと、ジョーカーだった。


ーーーー嫌な予感が…する。


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