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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
152/283

修学旅行中に

朝を迎えると、昨晩の嵐が嘘のように、

晴れ晴れとしていた。


「おはよ、茗子」

ハルくんが隣で微笑んで言うと、私の唇に軽くキスをした。

ーーーーハルくんの温もりが心地いいーー。

「おはよ…」

私が微笑み返して挨拶すると、

なぜかハルくんが赤面した。


「ヤバい…可愛すぎ」

「え…」

ーーーハルくんが照れながら言うから、私も照れる。





「じゃあ…行ってくる」

部室の前まで歩いてきてくれたハルくんが、

私に言う。


本当はまだ集合時間まで時間あるから、

登校しなくても良かったのに、

朝練に出る私のためにいつもの時間に学校へ来ていた。


「いってらっしゃい」

私は笑顔で送り出す。


ーーーー私も一緒に行きたい。離れたくない。


必死に思いを押さえてヒラヒラと手を振る。






ハルくんが居なくなってから、

なぜか知らない三年生の先輩や、違うクラスの一年生に呼び出された。


「相田茗子さん、俺…キミが入学式で新入生代表で挨拶してた時から、ずっと好きでしたっ」


「3年B組の鈴木一郎って言います、よかったら今度一回で良いからデートしてもらえませんか?」



どの人も同じような内容で…。



「茗子……春先輩が修学旅行に行ってから、告白ラッシュだねー」

彩がため息混じりに言う。

「まぁ、彼氏が居ない今しか想いは告げられないって魂胆でしょ」

愛梨もため息をつく。


「「良いなー、永遠のモテキ」」

彩と愛梨、二人の声が揃う。


ーーーそんなこと言われても…、ただ迷惑なだけなのに。



「明日だっけ?二年生帰ってくるの?」

彩がカレンダーを見ながら尋ねる。


「うん、明日。」

私は答えると、時間の流れがすごく長く感じた。

もうずっとずっと、一ヶ月も会っていないような気がした。



私が居ない時のクラスのハルくん…。

クラスの皆と一緒に旅行してる時のハルくん…。


彼女なのに、学年が違うから、見ることが出来ない。


考えたくないのに、

嫌な想像ばかりしてしまう。


クラスの女子と仲良くしてたら…とか、

もしすごく可愛い人に告白されて心変わりされたら…とか。


菜奈と甚の事があったからか、どうしても不安になってしまう。



疑いたくないのに、不安に押し潰されそう…。

誰もいない家に帰ると…余計に。



「茗子、夕御飯食べに来いって」

夕方、部活が終わって一人で家に帰るとすぐ、

サクちゃんが私の家に来た。


「お前、昨日もおとといも、うちで夕御飯食べてないんだろ?うちの母さんがうるさいから今日は絶対来いよな」


ーーーーだって、さすがに申し訳なくて…

それにハルくんがうちに泊まってから、なんか会わす顔がないと言うか…。



「わ、分かった」

ーーーーサクちゃんの気迫に押されて、私は頷く。


「着替えてから、行くから…」


私が言っても、サクちゃんはうちの玄関から離れない。


「サクちゃん?」

「なんか、悩んでんの?」

サクちゃんが言う。


「え?」

「茗子がそんな顔してるときって、だいたい春の事だろ?」

私が黙っていると、

「うまくいってないの?」

サクちゃんが言う。


「そんなわけないよ」

私が慌てて否定すると、

「じゃあそんな顔すんな!!」

サクちゃんが私の両頬を引っ張る。


「痛い…」

私が言うと、サクちゃんは自分の家に戻った。




----心配してくれたんだ…。サクちゃん。



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