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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
150/283

休日の過ごし方【前半】

「ーーーじゃあ行ってくる。何かあったらすぐ携帯電話に連絡するのよ?」

日曜日の昼下がり、

お母さんが慌ただしく家を出る。


「大丈夫だよ、心配しないで。ーーーそれより、パスポート、持った?」


「大丈夫、持ったわよ。ーーーじゃあ春くん、茗子を宜しくね」

一緒に見送ってくれたハルくんに、お母さんが言うと、

「はい、気を付けて行ってきてください」

ハルくんも手を振る。




「行っちゃった…」

「明日は俺も修学旅行だし…茗子一人で大丈夫か俺も心配…。」


ハルくんがお母さんが乗ったタクシーを見送りながら言う。


「まぁ、母さんも夕御飯は澤野家で食べるように言ってたから、ちゃんと顔出してやって。心配するし」

「ありがとう…」


そう言いながら、二人で私の家に入る。



「今日は部活も朝練だけで終わったし。期末試験も終わってるから、やることに追われてなくて変な日曜日だな」


「そう…だね」


話しながらリビングのソファに座る。



「どこか、出掛けたい?」

ハルくんが微笑んで言う。


「え、うん…」

ーーー出掛けても…良いけど…。

行きたい場所が特に浮かばない。


「映画でも観に行く?」

ハルくんが私に言う。

「…映画なら、家でDVD借りてきて、観たいかな…」


ーーーー街に出ると、

ハルくんを見る他の女の人の視線が気になるから。



「じゃあレンタルショップ行こっか」

「え、ハルくん良いの?」


ーーーーハルくんはいつも私の希望を尊重する。


「俺も、茗子と二人で居たいから」


ーーーーハルくんは、いつも私の欲しい言葉をくれる。


手を繋いで歩き出す。







「春、明日から北海道ねー」

夕方、澤野家で早速夕御飯を食べる。


「母さんねー、チョコレート買ってきて欲しいわ」

「はいはい」

おばさんのことばにハルくんが頷く。


「茗子ちゃん、明日からもうちで夕御飯は食べてね。約束よ」

「ありがとうございます」

おばさんの気遣いに、笑顔でお礼を言う。


「今日も、おうちで一人で寂しいだろうから、春一緒に泊まってあげたら?」

「「えっ」」

私とハルくんが同時に驚く。

ハルくんのお父さんは、お茶をブホッと激しく吹いた。


「え、母さんなにか変な事言ったかしら?」

「ダメだろ、泊まりは…」

おじさんがおばさんに言う。


「え、だって二人は恋人なんだし…。私たちだって春ぐらいの時にはーーーー」

「母さんっ、やめて」

おばさんの高校時代の話をハルくんが必死に阻止した。


ーーーーハルくんのご両親は、中学からの同級生カップル。

二人のなれそめは聞いたことがある。

おばさんは、今と変わらず当時も美人で、

高嶺の花だった。

おじさんは、入学式で一目惚れして、必死にアプローチして、付き合い始めて…。

二人は高校も大学も別々になったけど、社会人になってすぐに結婚したって。


「それに、茗子ちゃんのお母さんが頼んでいったのよ?春を茗子ちゃんの家に泊めて欲しいって」


「「えっ」」

ハルくんのお母さんの発言に、私とハルくんがまたハモった。


「今夜、雷雨になるらしいのよ。茗子ちゃんが怖がるからって」

「カミナリ…」

私が怯えそうになると、

「そう言うことなら、春、今日は茗子ちゃんの側に居てあげなさい。」

ハルくんのお父さんが言った。

「ただし、変な事するなよ…」

おじさんは真剣な顔でハルくんに言った。

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