お留守番
「三泊四日で…北海道?」
「うん、うちのクラスはね」
帰りながら、ハルくんが来週の12~15日の修学旅行の話をし出した。
「北海道かぁ…良いなぁ」
ーーー私もハルくんと一緒に行きたいよ…。
「お土産、買ってくるよ」
ハルくんは、
私が北海道に行くことを羨ましいと思ったのか、
私に笑顔で言った。
ーーーー三泊四日…。
ハルくんと四日も会えないんだ。
高校入ってから、始めてかも…。
「長いね…」
思わず口に出していた。
「茗子、寂しいの?」
ハルくんが意地悪な顔で私を見る。
「さ、寂しい…かも」
私がうつ向いて言うと、
「かも、ってなんだよ」
ハルくんが笑う。
「行く前の日は、一緒に過ごそうな」
ハルくんが繋いでいた手をギュッと握る。
「…う、うん」
なんとなく、恥ずかしくて私はうつ向いたまま答える。
「おかえり、茗子」
家に帰ると、お母さんが顔を出した。
「ただいま………どうしたの?」
お母さんが忙しそうにバタバタと動き回っている。
「実はお父さんがね、仕事でアメリカに出張になっちゃって。」
「アメリカっ!!?」
お母さんの話に、驚いて叫んでしまう。
「しかも、二ヶ月も…。帰ってくるの、年末らしいのよ」
「そんな…急だね」
私が言うと、
お母さんが深刻そうな顔をして言った。
「それで…茗子さえ良かったら、お母さんも少しアメリカについていこうかと思って」
「え、だってお母さん仕事は?」
「一週間だけ、お休み貰えたの。家庭の事情でって」
「私は大丈夫だけど…」
「そう?じゃあ明後日の、11日から16日までの一週間、お留守番よろしくね」
お母さんはホッとした顔をして、またスーツケースに荷物を入れ始めた。
ーーーー明後日…。
本当、急だな…
お母さん達も、居ないのか…。
急な話に、私はまだ実感が湧かなかった。