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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
146/283

心変わり

「あれ?珍しいね」

私は翌朝、菜奈のクラスに行った。


「菜奈…昨日、甚から聞いた」

私が菜奈の目を見て話す。

「うん。」

菜奈は目を見て頷いただけだった。


「うん、じゃないでしょ?どういうことなの?」

私はいつになく、怒りが爆発してしまう。

「なんで茗子が私に怒るの?」

菜奈は冷静に言う。

「怒るよ、だって甚が…」

「甚は茗子のものじゃない。別れたのは、私と甚の話。茗子は関係ないでしょ?」

菜奈は私の言葉を遮るように早口で言った。


「菜奈、どうして?」

「どうしてって…甚より好きな人が出来た。それだけの話よ。」


ーーーー甚より好きな人?あんなに甚を好きだったのに?


「菜奈…」

「皆がみんな、茗子と春先輩みたいにいつまでもお互いを一途になんて思っていられない。色々事情とかタイミングとか、そういうもので気持ちが動いたりするの。」

「………」

ーーーどうして気持ちが動くの?


「理解できないって顔だね。だから茗子には言わなかったの。」

菜奈が吐き捨てるように冷たく言い放った。


ーーー菜奈、私…親友だと思ってたのに…。

話せば分かり合えると思ってたのに…。





「ーーーあぁ、西原くんと菜奈ね。」

教室に戻り、

私の顔色が悪いのを心配してくれた彩と愛梨に、

さっきの菜奈とのことを話した。


ーーーーすでに二人は、

甚と菜奈が別れたことを知っていたようだった。


「菜奈と同じクラスでサッカー部の長富(ながとみ)くんだよ。新しい彼氏」

彩が言う。

「同じ部だから、西原くん本当可哀想で…」

愛梨も気の毒そうに言った。


「いつから?ーーーだって、花火大会は一緒に行ったって…」

私が二人に聞く。

「あの時はまだラブラブに見えたけどねー」

愛梨が言う。

「確かに。」

彩も頷いた。

「うちらも、詳しくは知らないけど…夏休み明けぐらいから付き合い始めたみたいよ?」


「菜奈、西原くんとケンカして元気無かった時あったし、多分それくらいの時期に長富くんが猛烈アタックして、菜奈が惹かれたんだと思う」

菜奈と同じサッカー部マネジャーの愛梨が言う。


「………」


「まぁ、タイミングとかあるしねー。弱ってるとき近くにいて、好きだとか言われたらグラッと来ちゃう気持ち、分かる!!」

愛梨が言葉を続ける。

「茗子だって、分かるでしょ?」


「…それは」

航くんと…花火大会の時、キスした時をなぜか思い出した。


「私も彼氏欲しいわ…」

「なら早く告ればいいじゃん」

愛梨に彩が突っ込んで、

「ちょっと、彩!その話はここでしないで」

愛梨が彩の口を押さえる。


二人がじゃれあうのを見ながら、

私は菜奈と甚のことを想った。



菜奈も甚も…私の大切な人。

どっちにも幸せになってもらいたい。


二人の気持ちが離れていってしまうことが、

こんなに切ないなんて…。


ハルくんだって、

いつ気持ちが離れていってしまうか、分からないってことだよね…。


恋愛って、奇跡。そして幸せなのに不安定。


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