表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
145/283

後夜祭での告白

文化祭は無事に終了し、

私はモヤモヤを抱えたまま、自由参加である後夜祭に参加していた。


ーーー愛梨と彩に連れ出された…という方が正しい。



キャンプファイヤーは、昨年から無くなり、

どうやらただ、自由にフォークダンスを踊る、

というよく趣旨の分からないイベントになっていた。


それでも、好きな人と踊ったりしている人達は、

見てるだけで幸せが伝わるくらい、

幸せそうで…。


今の私には、少し、辛かった。


「茗子、踊らないの?」

気付くと甚が隣に立っていた。


「あ、うん。ハルくんは実行委員忙しいし…」

私が笑顔で言うと、

「じゃあ俺と踊る?」

甚が手を差し出した。


「え?なんで…?菜奈と踊りなよ。」

私が笑いながら言うと、

「菜奈、他の奴と踊ってるから…さ」

甚が寂しそうに言った。


「え…どういうこと?」

私が甚の言葉の意味が理解できず、

聞き返すと、

「フラれた…」

甚がボソッと言った。


「えっ?嘘でしょ?」

夢にも思わない発言に、私は大きな声を出してしまう。


菜奈に、フラれた?甚が?


「……菜奈の同じクラスのやつに、とられた。俺、全然気づいてなくて…。」


菜奈は、甚とは隣のクラスだ。

でも、去年だって、クラスは違ったけどあんなに仲良かったのに…。


悲しそうな表情(かお)で甚が言う。


ーーーー菜奈、どうしてなの…。



『…茗子、好きな気持ちが変わっちゃうことは、いけないこと?』


ずっと前に、菜奈が私に言ったことばが、

一瞬頭をよぎる。


『好きな気持ちが変わっちゃうことは、いけないこと?』

ーーーーいけないことではない。

仕方のないことかもしれない。


でも。


私の大切な人が傷付いてる。


菜奈に裏切られた気持ちでいっぱいになる。


私に今、出来ることは………。

「踊ろ、甚。」

私は甚の手をとって、フォークダンスを踊る輪の中に入る。




ーーー菜奈、私…。

菜奈を許すことが出来ない。


甚は、私のすごく大切な人だから。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ