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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
143/283

茗子の周り

「ありがとな。じゃあ…」

オバケ屋敷の場所まで連れていくと、

サクちゃんの手が離れた。


「うん、楽しんでいってね」


私が笑顔で応えて、

サクちゃんと友達がオバケ屋敷へ入った途端、

周りにいた女子にすぐに囲まれた。


「ねぇ茗子、今のは誰?」

「どこでつかまえたの、あんな超イケメン!!」

「春先輩は大丈夫な訳?」


「えっと、彼は澤野 (さく)。ハルくんの弟だよ」

私の言葉に、皆から黄色い声が上がる。


「そっかー、兄弟!!」

「それなら、咲くん、狙っても問題ないよね?」

「もー超タイプ…」

「澤野兄弟…マジ素敵…」


あははは…空笑いで皆の話を聞き流すと、


「じゃあ私、仕事に戻るね」

航くんの元に走って戻る。


走っている途中の廊下で、腕をぐいっと引かれる。

「比嘉先輩?」

振り向くと、

いつになく真剣な表情の比嘉先輩が私を見つめていた。


「メイコちゃん、ちょっといい?」

「いや、よくないです。私今呼び込みしなくちゃ…」

私の腕を掴む比嘉先輩の手をそっとはがしながら言う。


「じゃあ、それが終わったら」

「無理です。ハルくんと予定あるので」

歩きながら言う。


「俺は今年の文化祭最後なんだよなー。最後のお願いだから…ちょっとぐらい」

「無理です。」

私の歩く速度に追い付いて、先輩が隣を歩きながら言う。


「ーーー確かに、俺は…相手の気持ちとか考えたことなかった」

先輩の言葉に、私は立ち止まる。


「考えるの面倒くせぇ、今さえ良ければ…って」

「………」

「メイコちゃんの言葉、悔しいけど心に残ってた…ずっと…。“相手の気持ち”?とか。」

「………」


「ありがとな」

それだけ言うと、比嘉先輩は背を向けて行ってしまった。


ーーーー私は、うつ向いたまま、比嘉先輩の言葉をかみしめた。


ーーーー届いたんだ、私の声が…。


嬉しくて、つい口もとが緩む。


足取りも軽く、私は航くんのところに向かった。

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