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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
142/283

巡回中に~春目線~

「何考えてるんだよ」

仲西航が、咲に連れられていく茗子を見ながら言った。

「何が?」

「あんたの弟…茗子ちゃんが好きなの分かんないのかよ」

俺が聞き返すと、仲西は苛立って言った。


ーーーそんなこと、言われなくてもずっと前から知ってる。それに………

「キミには言われたくないな」


ーーー咲より今、茗子を想ってるヤツに。


俺達が睨みあったまま動かないでいると、

「澤野くん、巡回の時間」

隣にいた実行委員の天野(あまの)さんに言われて、我に返る。


「あ、ごめんごめん。行こうか」

俺は仲西を一瞥して、仕事に戻る。






「澤野くん、良かったの?彼女、行かせちゃって」

天野さんが言う。

「あれ、俺の弟だから」

素っ気なく答える。


「え、弟いたんだね」

「うん、まぁ」

ーーーー咲は私立の中学で、

中学も別々だったからか、俺の弟の存在はあまり知られていない。


なぜ私立の中学をわざわざ受験してまで選んだのか…その理由を知ったのは、最近になってからだった。


(あいつ)は、咲なりに、色々悩んでいた。

そして今、茗子への気持ちにキリをつけようとしている。


ーーー“弟”として、茗子を慕っている。





「弟さんも、超かっこいいのね、何歳なの?」

「15だよ」

「え、高校生かと思ったー。大人っぽいね!!」

天野さんの言葉に、ただ笑顔で応える。


天野さんの顔が赤くなって、黙りこんだ。


ーーーーこれ以上は踏み込んで来ないでくれ。






「あら?春くん?」

「…莉子(りこ)先輩」

今年の三月に卒業した、去年の“ミス西高”の花井莉子先輩が、にこやかに近づいてきた。


ーーー香水の香りが鼻につく。


「久しぶりね」

「先輩、大学は?確かーーーー」

俺の口を人差し指で触れて止める。

「ねぇ春くん。あとでゆっくり話しましょ…」



「ーーーあの人…確か去年のミス西高の…」

天野さんが、颯爽と立ち去る莉子先輩の背中を見ながら言う。

「なんか、すっごい色っぽい人…」



ーーーー俺も…先輩と、後で話したい。


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