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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
139/283

文化祭前日に

文化祭の前日になり、

教室では、皆のテンションも高くなってきていた。


「いよいよ明日かー」

愛梨がしみじみ言う。

「お客さん、たくさん来るといいね!!」

「彩、中学の時の友達誰か呼んだ?」

「うん、何人かにチケット欲しいって言われてーー」

彩と愛梨が楽しそうに話す。


ーーーー私、チケットまだ持ってたな…。

結局呼ぶ人もなく、明日を迎えそうだ…。



「そうだ!愛梨、もしかして後夜祭のキャンプファイアーで告るの?」

彩が大きな声で言うと、慌てて愛梨が彩の口を押さえる。

「………コクらないよ、ばか」

「えぇー、キャンプファイアーは定番でしょ?雰囲気で上手くいく人多いんだし…憧れるけどなー」

彩がうっとりと言う。





「あれ、茗子?」

「サクちゃん…」

夜7時過ぎ、ちょっと買い物に近くのコンビニに行くと、

たまたまハルくんの弟のサクちゃんに出会す。


「茗子、ダメだろこんな時間に一人で出歩くなんて」

サクちゃんが怒ったように言う。

「また変な男に狙われたらどうすんだよ…本当危なっかしいヤツ…」


前に痴漢に遭ったことを思い出して、

私はギクッとした…。


ーーーそうだった…すっかり忘れてた…。


「春に言えば良いのに」

「ハルくんには、そんなことで負担かけたくなくて」

ーーー私がコンビニ行きたいからってわざわざ呼び出すのって、ハルくんかわいそうだもん。


「茗子は、分かってないなー」

「え?」

サクちゃんが笑ながら言う。

「嬉しいに決まってるじゃん。俺なら嬉しい」


「サクちゃん…」


「あ、サクちゃんも文化祭とかあるの?」

「あるよ、一応。何、来たいの?」

「あ…そういう訳じゃなくて…」

私が否定すると、サクちゃんの表情が何となく寂しそうに見えた。

「うちの文化祭…明日なんだけど…良かったらお友達と遊びに来て?」

私がお財布に入ったままだったチケットを取り出す。

「ーーありがと」


サクちゃんは、照れながらそれを受け取った。


「うちの学校は来週だから。チケットとかないし、春と来てよ」

家の前まで来たとき、サクちゃんが言った。

「待ってる」

その言葉に、私は何も言えず…。

立ち尽くしていた。





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