表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
134/283

ハルくんの気持ち、と会長の話

「は…ハルくんてさ、高校卒業したら…どうするの?」

「どした?突然」

ハルくんが笑いながら言う。


部活から帰ってきて、

私の部屋に来ていたハルくんに、私は切り出した。



「そういえば、そういう話…聞いたことなかったなと思って」

「うーん。…考えてなかったな。バスケは続けたいけど。」

ハルくんが曖昧に笑う。

「そう、なんだ」


「茗子は?大学とか考えてるの?」

「ううん…全然」

逆に聞かれて戸惑う。

ーーーそうだよな…進路とか考えてなかった。

漠然と大学とか行くんだろうなとは思ってるけど。




「ーー茗子?」

私を後ろから抱き締めたまま、ハルくんが言う。

「ん?」

「もしかして、生徒会長からなにか言われた?」

「え?」


「寛人がたまたま生徒会室から茗子が出てくるところ、見たって」

「あ…」

ーーーーそうだったんだ…。


「俺に、生徒会長になるように説得してとか頼まれた?」

「…うん」

ーーーーそれも気付いてたの…?

「やっぱりか」

ハルくんがため息混じりに言う。

「どうして?」

「ついこの間に、嘉津先輩にも言われたから…。あの柏木会長、色んな人に説得するように頼んでるみたいで…」


「ーーーハルくんは、やりたくないの?」

「……俺にはバスケがあるし」

ハルくんが静かに言う。


「でも、中学では生徒会長やってたよね?バスケも生徒会もちゃんとできてた」

「………じゃあ、茗子も生徒会副会長、やる?」

ハルくんが私の顔を覗き込む。


「え、私は出来ないよ、そんな人間じゃない」

顔が近くて、ついうつ向いて答える。


「茗子が隣に居てくれるなら、やるよ」

「………」

「茗子と居られる時間を、これ以上邪魔されたくない」

ハルくんが私の顎に手を添えて、視線を合わせる。

「ハルくん…」

そして、優しくとろけるキスをした。





「柏木先輩」

「あら、相田さん。」

翌朝、私は生徒会室に出向く。


「私も…生徒会副会長に立候補しても良いですか?」

「あなたが?」

柏木会長が驚いたように言う。


「それが、ハルくんが生徒会長に立候補する条件です」

私は、柏木会長にハッキリと告げた。


「………まぁ、いいわ。当選するかなんて、分からないし。それで澤野くんが立候補するのなら」


「じゃあ、この間の写メ、削除してください」

私の言葉に、柏木会長が携帯電話を取り出す。


「分かった……ほら、消したわ」

携帯電話の削除しましたの文字を確認して、ホッと息を吐く。



「でも、あなた、本当可愛いわね…」

柏木会長が微笑んで言う。

「え…」

-ーーー何、急に…。


私が赤面していると、

「比嘉には気を付けなさい、あなた、狙われてるわ」

「………どうやって気を付けろって言うんですか?」

ーーーー私だって気を付けることで防げるなら、気を付けたいよ…。


「ふふ…まぁ無理よね…あいつは一度狙った(えもの)は逃さないし。まぁ追い掛けてるのが好きみたいね、そして相手に好かれたらすぐに捨てるわ」



「どんだけ最低なの…」

ーーーーヒトの気持ち弄んで楽しんでるってこと?


「あなたも惚れたふりして、一度抱かれたら?そしたらもう追ってこないわよ」


「柏木先輩は…そうしたんですか?」

ーーーー何それ、他人事だと思って…。


カチンときて、自分がそうしたのかと聞いてみた。


「えぇそうね。しつこいから相手したわ一度。」

「え…」

しれっと答えた柏木先輩に、私は唖然とする。



ーーーーそんなこと…私には出来ない。


何その、割りきった関係…。

それで誰が幸せになるの?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ