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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
131/283

夏休みもあと僅か

「あいつらを頼む…」

嘉津先輩が私に言った引退前最後のことば。



三年生が引退し、

新しいキャプテンに寛人先輩が選ばれた。

「春は、責任感がありすぎる。お前がそれを背負ってやれ」

嘉津先輩がそう言って寛人さんを指名した。





「茗子、明日、どっか出掛けようか」

ハルくんが言った。


インターハイのあとから、

元気がなかったようだったけど、

部活終わりの今日、突然そんなことを言い出した。


「明日?」

私が聞き返すと、

「そ、明日。朝練しかないし。約束してたろ?」


ーーーーうわ、デートだ!


「うん、嬉しい」

私が喜んで返事すると、

「どこが良い?」

「うーん…」

ハルくんに聞かれて考えていると、

「ーーーちょっと遠いけど、隣の市の花火大会にでも行く?」

ハルくんが言った。

「え?」

ーーーーそうなんだ。


「明日らしいんだ。ーーー茗子花火好きだろ?」

ーーーー今年地元の花火大会行けなかったから…、気にしてくれてたの?


その気持ちが嬉しくて、胸がいっぱいになる。


「行く!楽しみにしてるね!!」

ハルくんに笑顔で言うと、

ハルくんも微笑んでくれた。





翌朝、早くから起きて朝練に向かう。

朝練が終わるとソワソワしながらシャワーを浴びて、支度する。


「あら、浴衣着ないの?」

「いや、さすがに夜まで浴衣だと疲れちゃうし」

花火大会の前に、せっかく隣の市まで行くから、

暗くなるまで街をぶらぶら歩く予定だった。


そういう事情で、浴衣は着ないでいたのだけど…。


「花火大会のデートなのに、浴衣着ないなんて…茗子は分かってないわ…」

お母さんに呆れたように言われる。

「え?」


「良いから、着ていきなさいよ!せっかくだから!!」

「え、ちょっと…」

半ば強引に浴衣に着替えさせられ、

しばらくすると、ハルくんが迎えに来た。


「茗子…浴衣なんだ」

ハルくんが笑って言う。


「ごめん…花火大会までまだまだなのに…」

ーーー歩きづらいし、やっぱり迷惑だったかな…。


「いやいや、去年よりずっと色っぽく見えるな」

ーーー色っぽい…?

そう言うハルくんの方がよっぽど色っぽくて、

私は赤面したままうつ向く。


「行こっか」

自然に手を繋いで歩き出す。


ーーーーいつもしてることなのに、

私服だからか…デートだからか…すごくドキドキする…。




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