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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
126/283

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『私がハルくんをフるなんて、絶対無いから。私がハルくんにフラれる時が終わりの時だよ…』


『じゃあ大丈夫だな…俺も茗子を離す気全く無いから。』



『……茗子、愛してる…』



これは…少し前の私とハルくんの会話。




私と距離を置きたいと言ってから、

ハルくんは私より先に部活へ行き、

私より先に家に帰る。


会話もなく、目も合わない。

まるでそこに私が居ないかのように、

部員の皆と楽しそうに笑う。



髪を切ったその日、

私は思いきってその足でハルくんの家に押し掛けた。


「あら?茗子ちゃん…髪が短いから一瞬だれかと思ったわ?」

ハルくんのお母さんが驚いたように言うと、

ハルくんの部屋に通してくれた。


「春!?茗子ちゃんよー」

おばさんの声に、暫くしてドアが開く。

「あ、私、ちょっと買い物行ってくるから…ごゆっくり」

何も知らないおばさんが、笑顔で言うと、

階段を降りていく。


「なに…?」

ハルくんが私を見ずに素っ気なく言う。


「ハルくん…まだ怒ってるよね…。私、本当に最低なことしたもん…」

「茗子は悪くないだろ…」

ハルくんが目をそらしたまま言う。


「でも…」

「ーーー聞いた。あのあと、西宮高の部長から。」

「え?」


「確めに行ったんだ…あれから」

ーーー聞いたの?

「あの部長が、勝手に妙な気を起こして、嫌がる茗子に無理矢理…首にキスマークつけたこと…」

「じゃあ…」

ーーー私のこと、許してもらえる?


「それでも…ダメなんだ…」

「え…」

言い掛けた私のことばを、苦しそうにハルくんが遮る。


「茗子を誰にも触れられないところに…隠してしまいたくなる」

「ハルくん…」

「嫉妬でどうしても、茗子に優しく触れることが出来ない…」


「優しくなくていいよ…」

ーーーーもしかしてハルくんが、距離を置きたいって言ったのは…

私のこと…考えて…?


「ハルくんに触れてもらえるなら、私、なんだって嬉しい。ハルくんの好きにして欲しいよ…」


ーーーー突き放されることが一番つらいんだよ…。



私がハルくんに抱きつくと、

そのままベッドに倒れ込む。


「ハルくん…」

「茗子、本当に良いの?」

真剣な眼差しで、ハルくんが私を見下ろす。

「大好きだよ」

ハルくんに、聞かれて私は笑顔でそう応えた。


ハルくんが私の唇を思いきり塞ぐと、

舌を絡ませ、吸いあったりかみ合ったりして……。


顔を交差させて何度も、

夢中でいつもと違う少し激しいキスをしたーーーー。



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