決意新たに
合宿から帰ってきて、
ハルくんから距離を置きたいと言われてしまった。
泣いても泣いても…。
現実は何も変わらない。
お腹も空くし、
時間が来れば部活にも行かなければいけない。
ただ、隣にハルくんがいないというだけで。
7月も終わりに差し掛かり、
いよいよ、来週末からインターハイが始まる。
「お前…春となんかあったのか?」
一緒に部活の片付けをしていると、嘉津先輩が手を動かしながら言う。
「ちょっと…」
「合宿の後から、話したりしてないだろ?」
「…はい」
「別れたのか?」
「……そうかもしれないです」
嘉津先輩の質問に答えているだけで悲しさで胸がつまる。
「春も絶不調だ。あいつが元に戻ってもらわないと、インターハイは一戦で負ける…」
「そんな…」
「お前がいることで、絶対勝てるって言いきったくせにな…誤算だったな。」
「え?」
「春が言ったんだ、“茗子が居れば負けない”ってな」
ーーーーハルくん…。
やっぱり…ハルくんが好きだよ…。
別れたくなんて、ない。
仲直りしたいよ…。
部活の帰り、
一人でトボトボ帰り道を歩いていると、
ふと、美容院の前で足をとめる。
「………」
そして、私は…美容院の中に足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ」
「予約とか…してないんですけど…」
「大丈夫ですよー」
美容院のスタッフさんが、優しく応対してくれる。
「肩につかないぐらい、短くしてください」
「え…せっかくこんな長いのに…?良いんですか?」
「はい」
私は鏡越しにスタッフさんを見て、きっぱりと言った。
ーーーー過去の私はここでおしまい。
私は…また、片想いから始める。