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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
121/283

茗子の嫉妬

合宿三日目。


昨日から?なんだかハルくんの様子がおかしい。


それにーーー

突き指をしたとき、自分一人で処置して、

私はマネージャーなのに、

彼女なのに…。


ーーーー頼ってもらえなかった。


テーピングもまだ上手に出来ないし…。

頼りないのは分かる。


でも、

ハルくんに頼って欲しかった…。



「あら、澤野くん、その指じゃうまくボールが触れないんじゃない?」

ありすさんが、ハルくんのテーピングに気づいて、

言うと、

「いや、大丈夫。」

ハルくんがぎこちなく笑顔で断る。



「大丈夫なわけないでしょ」

ありすさんが、突然怒り出す。

「大事なインターハイの前に、そんなつまらないケガで部員に迷惑かけるべきじゃないわ。テーピングぐらい、ちゃんとすべき!」


いいからそこ、座って!とハルくんを無理矢理座らせて、慣れた手つきでテーピングを巻き直す。



ーーーーーありすさんは、

西宮高(あっち)のマネージャーなのに。



私のハルくんに、触らないで…。



見ていられなくて、

私は皆の洗濯物を持って、体育館を出た。



ーーーーー私、ハルくんの為に何ができるんだろう。



悔やしくて、涙が出る…。




「相田さん?どうかしたのか?」

顧問の先生のところから戻ってきた矢野部長が、

体育館横で洗濯かごを持ったまま立ち尽くしていた

私に気付いて声をかけてきた。


「いえ、何でもないです」

慌てて涙を拭うと、笑顔で応える。


「洗濯機、借りますね」

洗濯かごを持ち上げて、歩いていこうとすると、


「相田さん、俺の彼女になってくれ」

突然腕をつかまれたと思ったら、

思い詰めたように、矢野部長が告げた。


「……え?」

驚いたのと、咄嗟に腕をつかまれて、

私は洗濯かごを落とした。



「……一目惚れしたんだ。初めて会ったとき。」

「………すみません」

私がうつ向いたまま、謝ると、

「だよな、分かってた。ごめんな、困らせて。」

切ない声言い、矢野部長が笑う。

「いえ…」

私がまだ困惑していると、


「じゃあせめて、連絡先の交換ぐらいは…」

矢野部長が言う。


「それは…」

ーーーーそれは、どうなんだろう。


「インターハイで、また会うんだし、色々と情報交換できるし…。」

「…はい」

矢野部長に押しきられて、連絡先を交換する。


それだけでも、

矢野部長は嬉しそうに体育館へ入っていった。



ーーーーー私は、何やってるんだろう…。


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