春の嫉妬 ~春目線~
合宿二日目。
朝練の最中に、
西宮高のバスケ部の奴らが、
マネージャーとして動いている茗子を見ながら、
噂をしている。
「彼氏いても、関係ないって思うよな…あんだけ可愛いと」
「そうそう、合宿中だけでも…」
ーーーー合宿に、彼氏がいるとは思わねーのか。
俺は睨むようにして、やつらを見る。
ーーーー最近ますます可愛くなって、
本当に気が気じゃない。
茗子が合宿に来てくれて、嬉しい反面、
こういう話を聞くとイライラが止まらなくてキツい。
「言わないんですか?“マネージャーは俺の彼女だ!”とか」
後輩が俺の隣に来て言う。
「春は、本当かっこつけるよなー」
寛人も隣に来て口を出す。
「余裕あるふり、したいんだろ」
「うるせー、練習戻れよ」
ーーーー余裕あるふりなんて、とっくに出来てないんだよ…。
西宮の部長なんて、
完全に茗子に惚れてんじゃねーか。
絶対、あの顔合わせの時からだ…。
イライラして、練習どころじゃない。
「春、危なっ」
急に目の前にボールが来て、
咄嗟に手を出して、突き指をしてしまう。
ーーーー俺はバカだ。本当に。
「ハルくんっ?!」
すぐに茗子がとんでくる。
「大丈夫?水で冷やす?」
泣きそうになりながら、俺の手をそっと触れる。
「大丈夫…ありがと」
それだけ言うと、水道の蛇口をひねり、水で冷やす。
ーーーー何やってるんだ…俺は。