ありすと茗子
「茗子ちゃんの彼氏って…澤野くん?」
合宿の一日目が終わり、
部屋で寝る支度をしていると、ありすさんが、話し掛けてきた。
「あ、はい…」
先程の嫉妬もあってか、ありすさんをまっすぐ見れない。
「へぇ、じゃあ部内恋愛ね」
「……そう、なんですかね?」
「違うの?」
「ハルくんとは…幼馴染みで…」
私がありすさんの顔を見ずに話すと、
「へぇ、幼馴染みで付き合ってるんだ!!すごいね」
「すごいですか?」
お互い、隣同士のベッドに入ったまま、話す。
「なかなか無いんじゃない?そんな漫画みたいな話。茗子ちゃんは可愛いし、澤野くんは爽やかなイケメンだし。周りがほっとかないでしょ?」
「………」
それは…そうかもしれない。
ハルくんのこと、想っている人は今もたくさんいるし…。
「羨ましいなー、彼氏と合宿!私は彼氏居ないから…」
「ありすさん…モテそうなのに…」
私が素直に思ったことを言うと、
「茗子ちゃんに言われると悲しくなるわ…」
ありすさんが、笑って言った。
「ありすさんは、どうしてマネージャーに?」
「何でかな…皆が試合してるときを見るのが好きだから…かな」
私の質問に、ありすさんが、少し考えてから話し出した。
「私、運動神経ゼロだからさ…、皆を見てると、元気になれるんだ…!自分も、その仲間になれた気がするから!」
「分かります…私もそうだから」
「茗子ちゃんも?意外!」
ありすさんが、噴き出して笑うと、
「明日も朝早いし、寝ましょうか」
と、言って明かりを消した。
「おやすみなさい」
私も、ゆっくり目を閉じた。
疲れていたのか、その日はすぐに眠りについた。