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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
118/283

合宿の開始

「今日からお世話になります」

西宮高校の合宿所に着き、皆で挨拶をする。


「まずは、各部屋四人部屋ですが、荷物を置いてきてもらえますか?部屋の振り分けは…」

ありすさんが、私を見る。


「あ、ここに。」

私が嘉津先輩と作った部屋の振り分け表をありすさんに渡す。


「じゃあ、案内しますのでついてきてください」

ありすさんが、にこやかに呼び掛ける。


「西宮のマネージャーも、かわいいな…」

「うん、癒し系だ…」

皆が嬉しそうに後についていく。




最後のひと部屋まで、案内すると、

「茗子ちゃんは、私と同室だから。こっちだよ」

今度は私を案内してくれた。


「嬉しいな…今年は、独りぼっちかと思ったから」

「え?」

ありすさんの言葉に、私が聞き返す。

「去年は先輩マネージャーがいたからさ。でも卒業しちゃったから…今年の合宿は私独りだなぁって思ってたの」

「ありすさん・・・」

・・・・私も、嘉津先輩が卒業しちゃったら…寂しいなって思ったから、気持ち分かるな。


「合同合宿になって、良かった!一週間よろしくね!」

「はい!」

ありすさんと笑顔で握手を交わす。







「矢野部長、これ落としましたよ」

練習中に矢野部長がつけていたリストバンドを拾ったので、渡そうとすると、

バシッと乱暴に取り返した。


「あ。ありがとな」

そう言うと、部員に召集をかけて、

基礎練習のメニューをありすさんと告げる。



ーーーーなんか、やっぱり私に対する態度だけ…

すごく変。





夜は、皆集まっての交流会が行なわれた。


「茗子ちゃんって、可愛いねー」

「彼氏とかいんの?」

あっという間に、西宮高校の人に囲まれて、

人見知りなので、固まってしまう。



「彼氏、います。」

私がそれだけ、なんとか言葉にすると、

「あー、やっぱりいたか」

「こんだけ可愛くて、居ないほうがおかしいもんなー」

落胆の声があがる中、

ありすさんが、ハルくんと話をしている姿が目に留まる。



ーーーー二人が楽しそうに笑い合ってる…。

何を話してるの?

ハルくん…やだ…笑わないでよ…。


「お前ら、相田さんが困ってるだろーが」

突然、大きな声がして、

矢野部長が私の腕を引いて、外へ連れ出した。


「悪かったな…うちの部員が絡んで…」

「いえ…」

外に出ると、すぐに手を離して、

矢野部長が私の顔を見ずにボソッと言う。


「あの…さ」

矢野部長が何か言いかけたとき、

「茗子?」

ハルくんが私に声をかけた。


ーーーハルくん…。


ありすさんと喋っていたときのことを思い出して、

胸が苦しくなった。


「どうした?大丈夫か?」

「うん…」


全然…大丈夫じゃない。

ありすさんと話してるところを見ただけで…

こんなに動揺して…。


嫉妬して…。


「おいで…」

ハルくんの言葉に、私は素直に従う。


「茗子、嫉妬してたの?」

「えっ」

「西宮のマネージャーと話してるとき、そんな顔してた…」

クスクス笑いながら、嬉しそうに私の顔を見る。


ーーー知ってたのに?…ひどい。




「意地悪…」

私が半泣きで言うと、

ハルくんが何か小さく呟いた。


「いつものお返しだよ…」



その声は、私の耳には届かなかった。

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