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やきもち
「昨日、どうだったの?」
朝、部活に行くので家を出ると、ハルくんが家の前に待っていた。
「おはよう、ハルくん。今日早いね」
「会食…楽しかった?」
ハルくんが不機嫌そうに言う。
ーーー焼きもち?
嬉しくなって、頬が緩む。
「なんで笑ってるの?」
ハルくんが不機嫌そうに尋ねる。
「ハルくんが焼きもち妬いてくれて嬉しくて」
笑顔で答えると、
「あ…」
ハルくんが頬を赤くして顔を手を当てる。
「普通に、合宿の話をしてきただけだよ」
私が淡々と言うと、
「本当俺…余裕ないわ…」
ハルくんが、今度は落ち込んだように言う。
「茗子が知らないやつとごはん行くって聞いただけで…昨日から気になって気になって…」
「知らないやつって…嘉津先輩もいたよ?」
「……そうだけど…」
カッコ悪いな…と呟きながら、ハルくんが足を早める。
「ハルくん待って」
私はハルくんの手をとる。
ハルくんも握り返してくれる。
ーーーこんな時間が、ずっと続けば良いな…。