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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
114/283

地区大会

地区大会当日。

ハルくんと会場へ向かう。

「いよいよだね!!」

私が緊張しながら言うと、

「…茗子、肩の力入りすぎ」

笑いながらハルくんが私の肩に触れる。


「頑張ってね」

「もちろん。優勝するよ」

ハルくんのいつもの笑顔に、少しだけ緊張がとける。



試合が始まる前に、

みんなの飲み物やタオルのチェックをしていると、

「あの…」

突然後ろから声をかけられた。


「私、西宮高校バスケ部のマネージャーで、田中ありすって言います。…西高のマネージャーさんですよね?」

「あ、はい」

ーー今日、夕方に会食予定の…。

慌てて立ち上がって頭を下げる。

「初めまして、西高のマネージャー、相田茗子です。よろしくお願いします。」


「こちらこそ。今日の顔合わせ会、楽しみにしてたんです。待ちきれなくって挨拶に来ちゃいました。試合前なのに…ごめんなさい!頑張ってくださいね」

人懐っこい笑顔の、可愛い人だな…。


「では、また」

そう言って、田中ありすさんは観客席に行ってしまった。





ーー試合は、西高の圧勝となり、地区大会の優勝が決まった。


ハルくんは得点王として、表彰された。



ーーーー本当に、すごい…。




「茗子、帰ろうか」

ハルくんが片付けを終えた私に、

いつものように声をかけてくれる。


「あ、ごめん…今日嘉津先輩と西宮高校の方と食事行かなくちゃいけないの」

ーーー言いそびれてた…。


「え…なにそれ…?」

ハルくんが驚いて、聞く。

「今年の夏合宿、西宮高校の方と合同でやるんだって。それで、今日試合を見に来てくれてたから、顔合わせの食事会…」


「そうなんだ…」

ハルくんが切なそうな表情で言う。

ーーーなんか、罪悪感…。なんでだろ。


「ごめん、だから先に帰ってて」


「分かった」

ハルくんは上機嫌の寛人先輩と帰っていった。



「お待たせしてすみません…」

しばらくして、待ち合わせの駅に、

嘉津先輩と先ほどの田中ありすさんが現れた。


「この辺のファミレスで、すみません」

嘉津先輩が言うと、

「いえいえ、私達が勝手に見に来ただけだから」

ありすさんが微笑む。


「ところで、矢野キャプテンは?」

「あ、今…来ます。」

嘉津先輩が言うと、ありすさんが携帯電話を見ながら答える。

「うちの部長、すぐ迷子になっちゃうんです…」

すみません、と頭を下げる。


「いえいえ」

私達が言うと、

「おーい、ありすー!」

大きな声でありすさんを呼びながら走ってくる人がいた。



「あ、来た来た。遅いですよー、もう!」

「わりぃわりぃ、駅の方角が思ったとこじゃなくて、さ………」

息を切らしながら、ありすさんに話しかけながら、

私に気付く。


あ…挨拶。

「初めまして、西高のマネージャー、相田茗子です」

頭を下げて、顔をあげると、

矢野部長が目を見開いたまま、動かない。


……あれ?


「ここにいても、仕方ないし、店に入りますか」

嘉津先輩が言うと、

しばらくして、我に返ったように、

「あ…。え…っと、そうだな!!」

相槌を打って歩き出す。



ーーーー私…無視された…ような…?

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