もとの鞘に…
「今日…ハルくんのおうちに寄っても良い?」
部活の帰り、私は勇気を出して切り出す。
ーーーー今日こそ、ハルくんに伝えたい。
「…今日?良いけど」
ハルくんが困ったような顔をした。
ーーー迷惑だった?でも…どうしても伝えなくちゃ…。
夕御飯を食べ終えて、ハルくんの家に出掛ける。
「あれ?おばさんは?」
「今日母さんも仕事でまだ居ないよ」
「そう、なんだ…あ、咲ちゃんは?」
「部屋に居るけど…?咲に用なの?」
「あ、ううん、違うけど…」
ーーーー誰も居ないみたいに…静かで…
緊張してきたの…。
ハルくんの部屋に入ると、
緊張して、急にドキドキし出す。
「あのね、ハルくん…」
「…うん」
ハルくんが私と距離をあけて隣に座る。
「私…航くんが初めての男友達なんだ…」
「え?だって、甚がいるだろ…」
「甚は、男友達というよりは友達。」
「?」
「航くんに友達にはなれないって言われてショックで…航くんと仲良くしたくて…でもそれは友達として、好きだから」
「甚に言われて…気付いた。私、無理に航くんの気持ちに応えようとしてた…」
「ハルくん…私はハルくんが好きでーー」
私が言い終わる前に、ハルくんが私を抱き締めた。
「マジか…」
心底ホッとした声でハルくんが呟く。
「ハルくん…ごめんね…私のこと許してくれる?」
私がおそるおそる顔をあげると、
ハルくんが軽くキスをした。
「!?」
久し振りのキスに、私は赤面する。
「……良かった。俺、今日フラれるのかと思った」
私の頬を優しく包んで、ハルくんが言う。
「私がハルくんをフるなんて、絶対無いから。私がハルくんにフラれる時が終わりの時だよ…」
ーーー私にハルくんをフる理由は何もない。
「じゃあ大丈夫だな…俺も茗子を離す気全く無いから。」
ハルくんが、笑顔で言うと、またキスをした。
「……茗子、愛してる…」
ーーーー私は初めて言われたその言葉に、真っ赤になる。
ーーーー今までと違って、すごく胸が熱くてくすぐったい響き。
恥ずかしくて、私は言えなかった。
ーーーー愛してるって、好きとは違うの?
私はハルくんが大好きだよ…。
同じ、だよね…?