気持ち伝える
「茗子、どうした?」
私は家に帰る前にハルくんの家に向かっていた。
ハルくんが私を見るなり、心配そうに言う。
「入って…」
ハルくんの部屋に通される。
「ごめんなさい…」
私が謝ると、ハルくんの顔が曇る。
「なんで謝るの?」
「何でも話すって…決めたよね?」
私はうつ向いたまま、顔を上げれない。
「………めいこ?」
「私、ハルくんのこと、ずっと好きだった…今も好きだよ…なのに…」
「………仲西のこと?」
ハルくんの声が低くなる。
「同じクラスで…どうしても気になっちゃう…避けたいのに、仲良くしたい。矛盾してる…」
ーーー私の心にあった、もうひとつの本音。
「……茗子」
「こんな気持ちの私が…ハルくんにふさわしいと思えない…」
「……別れたいの?」
「………こんな気持ちのまま、私なんかと付き合わない方が…」
「俺は、別れたくないよ?」
ーーーハルくんが優しく言う。
「茗子を誰にも渡したくないから。茗子が俺と居たくないなら仕方ないけど…、でもそうじゃないならーーー絶対に別れない。」
「ハルくん…」
「茗子があいつを選ぶなら、俺は片想いから始めるよ…俺は茗子が好きだから」
ーーーまっすぐな気持ちに、余計に苦しくなる。
本当にそれでいいの?
「地区大会が終わるまでは…俺だけの茗子でいて」
ハルくんが私を抱き締める。
本当にそれでいいの?