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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
103/283

帰り道

「茗子ちゃん、途中まで一緒だろ?」

四時過ぎには彩の家を出て、四人で帰る。

バス停から、それぞれの方角のバスに乗るので、

愛梨と仁科くんと別れると、航くんが言った。


「あ、私は…ちょっと寄りたいところあるから。帰ってて」

咄嗟に嘘が口から出た。


「じゃ、俺も付き合うよ」

「いや、迷惑だから…」

「付き合うって」

航くんも意地になる。


「何なの…本当に…迷惑だって言ってるじゃん」

私は苛立って声を荒げる。

「迷惑って何が?俺が勝手に茗子ちゃん、好きなこと?」

「………そうだよ」

航くんのまっすぐな言葉に、返事を返しづらい。


「ヒトの片想いまで否定すんな」

航くんが怒ったように言う。

「………」

「しょーがないだろ…好きで好きで仕方ないんだから」

ー-ーーやめて、聞きたくない…!!


「茗子ちゃんだって、そうだったんだろ?春先輩のこと…」

「………」

「好きで好きで、忘れられなくて。かすみと付き合ってたの知ったときも…」


言えない…

一度はハルくんを諦めようとしていたこと…。


花火大会でキスされた時、航くんのこと、好きになりかけてたこと…。

二人が別れていたことを知って、すぐにハルくんに想いが戻ったこと。


私は航くんと違う。

一途なんかじゃない。


ーーーー今だって……航くんにドキドキしてる自分がいる…。


最低だ…私。


いつからこんな気持ちを抱いていたんだろう…。


私は走って、航くんの前から居なくなろうとした。

泣いてるところ、見られたくない。



「何やってんの?」

航くんが追いかけてきて、すぐに腕を捕まれる。

「足、怪我してるのに無茶すんな…」

言い掛けて言葉を切った。

ーーーー泣いてるところ…見られた…。

止めたくても…涙は止まらなかった。



「茗子ちゃん、やっぱり…俺のこと好きでしょ?」

「好きじゃない」

私は、泣きながら答える。


「じゃあどうして泣いてるの?」

「………」

「俺のせいで泣いてるんだろ…?」

「………」

私は首を振る。


ーーー航くんのせいじゃない。


最低な自分が…許せないの…。



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