菜奈との恋バナ
「それって、マンネリ?」
菜奈が言う。
「そんなわけないでしょ…」
私が慌てて言う。
翌日の休み時間、菜奈と廊下でばったり遭い、
話しかけられた。
世間話のつもりが、突然ハルくんとの交際について突っ込まれ、
つい、最近私が以前のように気持ちが満たされないでいることを明かす。
「だって…前よりときめいてないんでしょ?」
「それは、ずっと片想いだったから…」
「手に入れたら、安心して?」
菜奈が意地悪く笑う。
「澤野春を彼氏にしておいて、そんな贅沢なこと言ってたら熱狂的ファンに刺されるよ」
「やめて…」
ーーーあり得るから…。
「そういえば、仲西くんとどうなの?」
「え?」
「話し掛けるなって言われたのにさ。噂、聞いたよ、お姫様抱っこで保健室!」
「それは…航くんが撤回したみたいで…保健室には…状況的に仕方なかったと言うか…」
私が小さく呟く。
「振り回されてるねー、茗子」
菜奈が笑って言った。
「仲西くん、結局茗子諦めるの止めたんだって言ってたからね」
「え…菜奈に?」
私の問いかけに菜奈が首を振る。
「甚に言ってたの、聞いちゃった。部活帰りに二人が話してるの、たまたま。」
「そ、うなんだ…」
「なんか、また、元気になったよね」
菜奈が言う。
「心配してたんだ、甚と。」
「私…困ってる」
菜奈を前にすると、言葉が素直に出てくる。
「航くんと仲良くするのが…怖くて」
「どうして?」
菜奈が優しく聞いてくれる。
「分からない…航くんと仲良くしたいのに…」
私が困惑していると、
「それってさ…、仲西くんのこと、好きになっちゃうからじゃないの?」
菜奈が私の目を見て、ハッキリと言った。
「そんなわけない…だって私が好きなのは…」
私はまるで自分に言い聞かせるように呟く。
菜奈が私に真剣な顔で尋ねる。
「…茗子、好きな気持ちが変わっちゃうことは、いけないこと?」
「……」
私は言葉を失う。
「そりゃ私だって、もし甚が他に好きな人できたって言ってきたらショックだよ…嫌だよ…でもさ」
「……」
「他に好きな人がいるのに、私に言えずにそのまま付き合ってるのは…もっと悲しい。」
菜奈の言葉に、涙が溢れた。
ーーーーそんな。
自分で、認めたくなかった。
だって私はずっとハルくんが好きだったんだよ?
小さいときからずっと………。
それなのにーーーー。