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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
100/283

気持ちの変化

「今度の土曜?」

「うん…」

その日の部活の帰り道、ハルくんに早速報告する。


「彩と愛梨がね…勉強会しようって」

「そっか、中間テストもあるしね…」

私の言葉に、ハルくんが同意する。


「あと…仁科くんと……航くんも一緒に…」

「え?」

ーーー男の子の名前を出すと、ハルくんが立ち止まった。


「仲良いんだね…そのメンバー」

ハルくんが寂しそうに笑う。


「私は航くんと話したくないから止めたかったんだけど、話の流れで…断れなくて…」

ーーーー言い訳だよね、こんなの。

自分から、航くんとは関わらないって宣言しておいて…情けない。



「断ろうとしたのは、俺のため…だよね?」

「……ハルくん?」


ーーーーそうだよ、他にどんな理由があるの?

私が首をかしげると、

ハルくんが前を向いて歩き出すと言った。


自分(めいこ)の為…じゃないよね?」


ーーーー私?

自分の為に、航くんのことを断ろうとなんて、

してないよ…。


「行って欲しくない」

ハルくんが前を見たまま言う。


ーーーそうだよね…。私がうつ向くと、

ハルくんが頭にぽんと手を置いて、言った。


「でも、行ってきなよ。」

「え?」


私が驚いてハルくんを見上げる。


「だって、茗子行きたいんだろ…顔に出てる」

ハルくんが切ない顔で笑う。


「確かに仲西がいるのは、すごく嫌だけど…。でも…それで茗子のこと束縛したりしたくない。クラスの仲間と遊ぶのに、俺のせいで茗子が仲間外れとか…それは嫌だ」


「束縛じゃないよ」

これは束縛なんかじゃない。


「でも…航くんのことは…本当にただの友達だよ。心配しないで?」

私はハルくんの手を握る。

「私は、ハルくんが好きだよ」


ハルくんが手を握り返してくれる。

「うん」




私達は、最近どちらかの部屋に行くことが増えた。


共働きの両親がいない時は、抱き合って…一緒に過ごす時間も増えた。


ずっと好きだった人と過ごす、幸せな時間。


すごく優しいハルくん。


それなのに、どうして満たされないのだろう。

以前のようにーーーー。

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