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いっこの差  作者: 夢呂
【第一章 】
10/283

サッカー

中間テストも無事に終了し、

気付くと7月になっていた。



あと数日で夏休みに入るからか、

学校中がなんだか騒がしく感じる。



あれから、

ハルくんには会っていない。


変わったこととしたら、

甚と奈菜の仲間内に、最近よく仲西くんが加わるようになったことだ。


他の女友達から言わせると、

かなり羨ましいこと、らしい。


(こう)くんと、仲良くできるなんて、茗子(めいこ)奈菜(なな)、本当羨ましい!!」

「そうだよ、航くんて、なかなか近寄りがたいから女の子全然仲良くないんだよ!?」

「サッカー命って感じだしね!!」

放課後クラスの子がワイワイ騒いでいると、

「なになに?俺の話?」

仲西くん本人が教室に入ってきた。


その途端、はしゃいでた女の子達はみんな、

恥ずかしそうにそそくさと帰っていった。

私と奈菜が残る。


「来週の土曜日さ、花火大会じゃん?甚と四人でさ、行かない?」

「え、でもその日って確か、最後のサッカーの大会じゃないの?」

奈菜が仲西くんにたずねる。

「そうだけどさ、別に花火大会までには終わってるしさ!どぉ?茗子ちゃん?」

「花火大会、良いね、私花火大好きなんだよね」

思わず笑顔で答えると、仲西くんが目を見開いて私を見ていた。

「な、仲西くん?どうしたの?」


「え、いや、かわいいなと、思って、笑うと…」

私はびっくりして赤面した。

かわいいなんて、久しぶりに言われたしー―ー。


奈菜は冷やかすように、

「はいはい、暑いわー、今日は特に暑いわー」

と帰ろうとする。

「ちょっと、奈菜待って…私も……」

行こうとすると、腕をつかまれる。


「茗子ちゃん、花火大会の前の時間も空いてたら…サッカーの試合も、見に来てくれないかな?」

「え、でも…」

「最後だしさ、応援とか…してくれないかなと思って、ダメ?」

「あ、あぁ、じゃあ奈菜にも聞いてみるよ…」

「茗子ちゃんに、来て欲しいんだけど。」

あまりに真剣な眼差しに、

何も言えなくなる。


しばらくの沈黙のあと、私は渋々返事した。

「分かった…」

「マジか!!やった!!んじゃ、またな~」

返事をしたら、嬉しそうに部活へ行ってしまった。


掴まれてた腕がなんだか熱い…。






試合の日。

言われた通り、試合場所のグランドに向かった。

かなりの人がいて、圧倒される。


こんな大きな大会だったんだ…。


入口付近をうろうろしていると、

後ろから声をかけられた。


「あの…マネージャーさんですか?」

振り向くと、私立の中学のジャージを着た男の子が二人、ニコニコして立っていた。


「いえ、私は部外者で…」

「もしかして、誰かの応援とかですか?」

「彼氏とか、いるの?」


え、なんか、怖い…。


青ざめて硬直していると、

聞き慣れた声がした。

「そこで、何してんの、茗子。」


「あ…(さく)ちゃ…」

ちゃんを付けそうになり、黙る。

でも、すごくほっとした。

「なんだ、咲、知り合いか」

「ん。俺の幼なじみ」


がっかりした様子の男の子達が興味なさそうに行ってしまうと、

咲が私の方に近づきながら言った。

「で、何しに来たの?誰かの応援なの?」

「あ、うん。友達の…。でも私、初めて来たからどこに行けば良いのか分かんなくてさ」

情けなくてヘラヘラ笑ってしまった。


「ふぅん」

咲はそれだけ言うとさっさと会場に入っていく。

…咲、なんか機嫌悪い?

私が立ち止まったままでいると、

「めいこ、ほら、こっち。」

振り返って、声をかけてくれた。


咲が私の中学の応援席まで、案内してくれたおかげで試合前に落ち着くことができた。


「サク、ありがとね!サクも今日試合出るんだね!そういえば小学校の時からサッカーやってたもんね!!会えてよかったよ…本当助かった!!」

ありがとうと頭を下げると、

サクは笑顔で言った、

「試合も出るよ、茗子の中学とも試合するし、応援してろよ、そこから。」

「分かった、個人的に応援するよ、サクだけ」


私がふざけて言うと、咲は笑いながら選手のいる会場へと向かっていった。


サクも頑張って欲しいけど、

仲西くんも最後だし頑張って欲しい、

甚も出るみたいだし、

3人を応援してれば良い、よね?





































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