五ノ七.気持ちの整理は不可能
こんな告白をされて動揺せずにいられるわけがない。
神が人を騙したりはしないだろうという根拠のない信頼感もあって、言葉の重みがのし掛かってくる。
高鳴り続ける心臓を必死に押さえ込みながら、なんとか彼の言葉を反芻する。
(心に決めた相手か―――)
呪いを解くためには、いずれ三人の王子の誰かと結婚しなくてはいけないのか、と考えてはいた。
けれど、わたし自身の呪いが解かれたのならば、王族に掛けられたヴァーラの呪いも解いてもらえないだろうか。それが可能ならば、その必要はなくなるかもしれない。
彼らの先祖の愚行はあの世で償われているようだし、本来、王子たちが子孫として責任を取る必要は全くない。
正直に言えば王子たちと過ごす時間は楽しい。
最初は怖いだけだったあの兄弟と、打ち解けて普通に(?)接することが出来るようになったのは、間違いなく彼らのおかげだと感謝もしている。
三人ともそれぞれ違った魅力を持っていて、それが恋愛的感情かどうかはともかく、惹かれる部分も確かに存在している。
いや、魅力は溢れていると言った方が良いのだけれど、王子という身分とキラキラし過ぎる存在のせいで、これ以上踏み込んではいけないと自動セーブしているのかもしれない。
しかし、身分とキラキラ度で言えばウトゥヌ神は彼らに勝る存在ではある。
けれどわたしにイサがあることで生まれつき対になる運命ならば、共にあるのが当然の姿なのかもしれないとも思える。
彼の姿が目に入った瞬間の衝撃や、至近距離かつ触れられる事に全く抵抗がないことを考えれば、彼こそが運命の相手なのかもしれない。
けれど、ミアーノはリオナとウトゥヌ神が恋人のようだったと言っていたけど―――人間でいうところの夫婦の関係ではないような言い方だった。
(―――ってアレ? いつの間にかミアーノいないし……)
見えない相手に惚けた顔をしているわたしに気を遣ったのかもしれない。
けど恋愛はともかく、結婚となるとハードルが高すぎる。乙女ゲームの中では数多くの恋愛を見てきたが、結婚生活をプレイしたことがないからまるで想像ができないし実感も湧く筈がない!
憧れ☆結婚ライフ、みたいなタイトルは需要がないのだろうか……。
「と、とりあえず……王子たちも心配してると思うし、戻ってからゆっくり考えさせて欲しいんですが……」
神様を待たせるなんて恐れ多いだろうかと、びくびくしながら聞いてみたが―――
「もちろん、。異論などあるはずがない。君の意向に従うだけだよ」
ぬぁー、神様を従わせてしまった!!
(なんなんだこの甘々な雰囲気! 鼻血噴出する……)
眩しすぎる微笑を直視出来ずに俯くしかなかった。




