三ノ六.異次元語の変換は不可能
えーと? オットにナリタイってどういう意味の言葉なんだろう?
日本語に当てはめれば……『夫』?
え、三人がわたしの夫になりたい????
あー、ファレスは分かる。ぶよぶよのお肉を手に入れるためにはそれが一番手っ取り早いもんね。
ウォーレンは……んーそっか、あっちの世界の事を色々知るのに情報提供してくれる妻が便利なのか?
でもセイは? 将来を誓い合った恋人はどうした! あ、他言無用だったっけ? ごめんもう言っちゃった!
「あ、あれ? 『言っちゃった』??」
視界の先で王子たちが頷いているのが見えた。
わたしはパニックになると考えるよりも先に口が勝手に思考して喋り出すらしい。わーびっくりー☆
「あのですね。里緒さんが勝手にぽっちゃり好きだと勘違いしたので、それを利用して警戒心を解き、あわよくばお近づきになろうと恥を捨てて演技していたのですよ?」
―――ぶふぉあぁ!? 今、里緒って言った!? 腹黒発言暴露してるのにそのとろける笑顔はヤバい!
「円滑に会話する方法を思案した結果、質問をすれば里緒が声を聞かせてくれると分かったので必要以上に執拗に問いかけていただけだが」
―――ぎやぁあぁ!? 里緒って言ったよ! てかなに、照れてるの!? 目元赤くて萌えなんだけど!!
「最初は面倒だったから恋人がいるって嘘ついて、距離開けようと思ってたのに里緒が可愛いから! なんのためにわざわざ時間作って遊びに行ってあげたと思うのさ」
―――ぐはぁあぁ!? 里緒って、里緒って! 美少年のツンデレオイシすぎる! ごちそうさまですッ!
うふふ、逆ハー完成☆ミ
……って、なんでだぁぁぁ!(秘技ちゃぶ台返し)
ま、まぁ落ち着こうではないか。
えーと。このイケメンたちが話しているのは異次元語のはずだ。
聞こえてくる通りの言葉ではなく、何か他の違う意味があるに違いない。
ほら、どこかの方言みたいに、発音は同じでも意味が違うってことがあるんだよ。
そうと分かればただの空耳的な勘違いが泣けるくらいに幸せだ!
「ぐふ、ぐふへへへへ」
にへら~。頬の筋肉が不気味な形に緩みきってるけど止められないー。
「あーぁ。この子トリップしちゃったよ……まだ呪いを解く条件がもう一つ残ってるんだけどねぇ。仕方ない、それについてはまた話すとしようか。ま、『男を愛する』ことに関しては任せるから、アンタたち頑張りなさいな」
「「「はい……」」」
―――数日後、わたしはこのイケメン王子たちと旅に出ることになるとも知らずに、いつまでも幸せな錯覚に浸っていたのだった。




