三ノ一.寿命と転生
*ここより第三章に入ります。
久々にアルディア城へと招待されたわたしは、初めてウォーレンとセイに会った時と同じ部屋へ通さた。王子たち三人と並んで椅子に座らされている。
その前の小さなテーブルに、細長い棒を持ったヴァーラが立る。まるで先生と生徒のようだ。
小さな部屋でヴァーラは「よくお聞き」と、いつになく真剣に話し始めた。
「最初に謝っておくことがある。あたしは最初アンタたち王子に『行方不明の妹を探して嫁にしろ』と頼んだけど、あれは嘘。嫁にしろの部分は本当だけど、リオナの所在はアンタたちが見つけるだいぶ前―――というか、リオナが異世界に転生するようになった四五〇年前からあたしには分かってた」
(ああ、やっぱりね。でなきゃこれまでの行動がちぐはぐだし)
チラリと横を見ると王子たちは揃って「だからなに?」という顔をしているので、全員気付いていたのかもしれない。
「じゃあなんでわざわざアンタたちに探させたのかと言うと、自分らの力で解決して幸せになって欲しかったからさ―――セイは分かっているだろうけど、あたしたちはこの世界で生まれて死に、またこの世界に生まれ変わる。あたしはこの五〇〇年の間、三回転生した。セイは四回目だったね。寿命と、死後の世界に留まる期間にもよるけど大体あたし達は通常のサイクルだ。なのにリオナはその間、あちらの世界で一〇回も生まれ変わった。この意味が分かるかい?」
転生の話はもとより、そもそもこちらの世界の基本的な常識がサッパリ分からないので黙っているとウォーレンが口を開いた。
「リオナの前世たちが極短命だったと言うことか?」
「あるいは、あちらの世界ではそれが標準サイクルなのでしょうか」とはファレス。
(うーん、それはわたしがどの国にどんな身分で生まれ変わったのかにもよるだろうなぁ)
今でこそ平和で長寿国な日本だけど、五〇〇年前っていうとちょうど戦国時代。信長でさえ人生五〇年って詠んだくらいだし、兵士その一とかなら呆気なく一〇代でやられてるかもしれない。
現代でも海外なら戦争や貧困、医療整備などの問題で生後間もなく死亡することも珍しくないだろう。
だけど、ふと疑問に思ったことがあってアルディア人の寿命はどれくらいかと聞いてみたら「統計をとったことはないけど、五五-七五位の死亡者が多いよ」とセイが教えてくれたので簡単にパパッと計算してみる。
「―――とすると、この世とあの世にいる時間はあんまり変わらない? もしかしてわたしは毎回平均二五歳前後で死んでるってこと? あんまり環境に恵まれなかったんだなぁ」
ちょっと前世の自分たちが哀れになったが、ヴァーラに訂正された。
「いや、違う。リオナはあちらの世界で、自分自身で死に続けているんだ。このままだとまた近いうちに死ぬ事になるよ」
静かな部屋の中、隣から息を飲む音が聞こえた。




