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立体の男は異次元から  作者: 伊代
王子という男たち
18/41

二ノ八.王子たちとの過ごし方

*主人公視点になります。

(王子っていうのはそんなに暇な職業なわけ?)


 政務に携わったり視察に出かけたり外交を行ったり学問に追われたり色々な付き合いがあったり……よく分からないけど、何かと忙しいものでは? わたしの知る二次元ではそういうイメージだ。

 遊学中だったり傍系の放蕩息子だったりという設定もあるけど、次期国王候補の王子たちが揃って入れ替わり立ち替わり毎晩のように婦(腐)女子の部屋を訪れるとはどういうことだ。

 異世界の仕組みや政治、技術なんかを取り入れるために勉強に来るのならば大いに理解出来るのだが、このイケメンたちときたら……。



 まず、第三王子のセイ。

 彼には大事な恋人もいるという話だし、イタイ女をからかって遊びたいだけだろうと思い、なるべくスルーしてやり過ごしている。

 最初のうちはどう相手をすれば良いのかと真剣に受け答えしていたが、何か言い返せば待ってましたとばかりに嬉々として揚げ足をとったりネチネチと責められたりするので「はいはい」「そうですね」の姿勢でいればそれほど被害はないと悟った。

「リオナー、見てよコレ。庭にいた猫に引っかかれてさー。王子の肌に傷つけるなんて、どういうつもりだろうね? あ、でも僕、リオナになら引っかかれてもいいよ。ほら、背中とかさ」「ハイソウデスネー」という具合だ。こういった意味深な発言に最初は赤くなっていたが、慣れとは怖いものだ。


 彼はわたしの部屋にいる間、ベッドを占領し寝っ転がってテレビを見ながらお菓子を食べるというスタイルがお気に入りらしい。

 わたしはと言えば机に座ってネットをしたりラノベを読んだりと、ごく普通に過ごしている。

 セイとわたしは同い年だが、生意気な弟がもう一人増えたような感覚で一番楽に相手が出来ている。



 次に第一王子ウォーレン。

 このお方の場合はセイとは真逆で、緊張感がハンパなくスルーなど出来るはずがない。

 初めて部屋を訪れて来た時は恐怖から涙まで流して固まっていることしか出来なかったが、今ではなんとか顔をあげて返事するくらいには慣れた。


 先日は机の上に置いてあった山積みのラノベを指さして「それはどのような内容の書物だ?」と聞かれてうっかり「びーえるものです」なんて答えてしまい墓穴を掘った。「びーえるとは何か」と解説を求められるが、勿論教えることなど出来ずパニックになっていると「説明出来ないなら朗読してみてくれ」と言われて本気で死にたくなった(こちらの文字が読めないから仕方ないのだが)。

 こんな風にわたしが耐えきれなくなりベッドに逃げ込むと、いつも諦めて帰ってくれる。そういう意味では彼は一番紳士なのだろう。これを利用しない手はない。


 けれど紳士でありながら女性に対する気遣い(デリカシー)は皆無だと思える。

 わたしが着ている服の着脱方法が気になれば説明だけでは満足せずに実演しようとしたり、トイレの仕方を聞いてきたり。

 凄く真面目で探求心が激しい人だから邪心はないのだろうが、だからこそ一番タチが悪いとも言える。

 自分が男でわたしが女だということをもう少し考慮して欲しい―――あ、もしかして女だと認識されていないのか?



 最後に第二王子ファレス。

 この男は た だ の 変 態 だ。もう諦めた。

 いつでもどこでも隙あらば触れてこようとする。

「リオナさんの丸い頬はさぞかし弾力があって触り心地が良いのでしょうね」「リオナさんの親指の付け根は、ぷっくりしていて美味しそうですね」「リオナさんの柔らかく暖かそうな膝に頭を乗せて眠りたい」「リオナさんの―――」……といった具合で、つまり「お肉」にしか興味がない。


 色っぽい話でなくて残念だが、もっと残念なのはこの男の性癖だ。想像して欲しい、絶世の美男子が肉にしか執着しない姿を―――。

 いくら美女のように見えても、やはり男には変わらないので近寄らせたり触らせてやったりはしない。

 うっかりしていると発言にドキドキしてしまう事もあるが、あのドーナツ店での帰り以降は猛獣のような様子は見せずに飼い犬らしく尻尾を振ってニコニコしているだけなので、なんとか堪えている状況だ。



 三人が部屋で過ごすのは一日あたり一~二時間程度だが、部屋で年頃の男と二人きりという状況が続くこの状況にどう耐えれば良いのかと自分なりに考えた結果、導かれたのは「非常にリアルな3D映像で乙女ゲームの世界を疑似体験している」と思いこむ作戦だ。


 幸い乙女ゲームで歯の浮く甘い台詞はさんざん聞き慣れている。王子たちのイケメン度の高さも、恋愛対象キャラだと思えばなんの違和感もない。

 そう思い込んでしまえば、これはかなりオイシい逆ハーシチュエーションだ。エンディングまでに誰を落とそうかな~、選り取り見取りだ~、とワクワクしてしまうアレだ。

 それに、この三人には「世継ぎが望めない」という呪いがかかっているから余計に二次元設定しやすかった。ゲームの男たちは例えドSだろうと、プレイヤーに実害を加えたりはしないものだから。




 こうして過ごす日々が一ヶ月程続いた頃だろうか、ヴァーラがわたし達に新しい問題を突きつけてきたのは。


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