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立体の男は異次元から  作者: 伊代
王子という男たち
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二ノ七.ファレス

*第二王子視点となります。

 おそらく私は負けず嫌いなのだろう。


 はじめてそれを自覚したのは五歳の時。

 兄が父王より賜ったこの世に一つだけの特注だという美しい宝剣を欲した。

 兄は八歳で既に並々ならぬ剣技を身につけていて、体力差はあるものの城の騎士たちと互角にやり合えた。それを認めた父からの、特別な贈り物だった。


 ウォーレンは容姿だけではなく、武術の才においても父の遺伝子をしっかりと受け継いでいる。

 勿論、私も第二王子として剣術を嗜んではいる。物心ついた時から師について鍛錬し、毎朝自主的に剣を揮ってもいるがそこそこの出来にしかならない。

 だがどうしても自分も宝剣を手に入れたくて、意味もなくそれから半年間は徹夜で師に稽古をつけてもらったが、体調を心配した母に止められてしまった。



 二度目は八歳の時。

 セイが魔力持ちとしてAランクになった記念に魔術の師から与えられた指輪―――それを自分も欲しいと思った。


 Sランクは本人の努力だけではどうにもならない記憶量の問題があるので通常の人間には無縁の話だが、Aであればそこそこの記憶量さえあれば実力次第で登り詰めることが出来る。

 それでもアルディアには三〇人足らずしか存在していないのだからセイの実力は凄まじいものがあるのだろう。

 セイ自身は三代前の「自分」からの記憶を持っているそうだが、労せずAランクになったわけではない。生まれてすぐにその才を認められ、一人で歩けるようになる前から一流の師がつき、ようやく八歳で獲得した称号だ。

 一方、私はと言えば一世代前の記憶がぼんやりと残っているだけで素質としては残念なものしかない。それでも弟に負けるのが悔しくて半年間は朝から晩まで修練した。が、日々魔力を使い果たしやつれた顔をしているのを心配した父に止められ、結局Cランクが限度だった。



 剣を極めた兄。

 魔術を極めた弟。

 それに引き替え中途半端な自分。だが言い換えれば何事にもそこそこ通じているということだ。

 兄は魔術の素質はゼロで努力する意味さえなく、弟は剣を持てば器用に自分を傷つけてしまうほど不器用なのだから―――と、諦めるための言い訳を探していた。




 だが―――今回だけは違う。勝つのは私だ。


 はっきり言ってしまえば、リオナは得体の知れない異世界の娘。容姿は凡庸かそれ以下で、華があるわけではない。

 男を喜ばせる話術に長けるわけでもなく、一緒にいて安らぐだとかの一般的な男性が喜ぶであろう女性としての魅力もない。

 誰が好き好んで妻に迎えるのだろうと高を括っていた。

 だというのに、兄も弟もリオナを気に入ってしまった。セイはともかくとして、今まで女性に興味を持たなかった兄は強敵になるだろう。


 家族たちは私が女性を苦手だと思っているようだが、それは半分正解で半分誤り。

 正しくは「女性に興味はあるが、今まで出会った人がすべて苦手だった」だけ。

 ようやく出会えた手に入れたい女性、それがリオナ―――いや、里緒だ。


 だから自分を偽って、彼女を騙し続けよう―――そう、決めた。

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